優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

秋分
平日の病院の廊下はいつも看護師、補助員、清掃員、医師、作業療法士、理学療法士、患者など多くの人々でにぎやかです。病院スタッフたちの足取りは素早く、きびきびと仕事をこなしています。

土日にも生活を支える補助員、清掃員たちの姿は変わらず見られますが、それ以外の医療関係職の姿は減ります。廊下を歩いていると、誰の姿も消えて長い廊下を挟んだ向かいの病棟の奥まで一直線に見渡せる瞬間がありました。

近大病院は泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅近くに新しい病院棟を建設中です。本来ならすでに稼働していたそうですが、コロナ禍で大幅に建設が遅れたとか。
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清秋
病室は窓側ではないため部屋の窓からの景色は望めません。しかし、別の場所から眺めてみると、住宅街の彼方にあべのハルカスの姿が見えました。この建物はよく目立ち、関西周辺の山に登るとこれを探したものでした。

このさらに奥に梅田の高層ビル群もかすかに見えます。11階建ての病院の屋上に上れば、明石海峡大橋の主塔も見えるそうです。姫路の増位山頂からもこれを見ることができます。直線距離にすれば同じくらいです。
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秋分
秋分の夕食はお寿司でした。栄養部からのメッセージもついていました。「昼と夜の長さが入れ替わる日であり、お彼岸(彼岸は仏教用語です)にお墓参りをする日でもあります」といった意味のメッセージが書かれ、秋の七草の記述もありました。

20代前半の夜勤看護師に、ステロイド点滴について「お彼岸の中日をはさんで三日なんです」と言ったら、「お彼岸って何ですか?」と言われてびっくりしました。「秋分の日のことです。お墓参りしたことないですか?」とたずねると「いいえ」とのこと。

臨床の看護師は「死ぬこと」を身近に感じる職業だと思うんですが…。死ぬことと墓参りが近いものではなくなっているのかもしれません。自分も墓じまいを済ませていますが、石碑を建てて盆や彼岸にそこへお参りするという風習は急激に変化しようとしています。
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秋分
秋分の朝は雨で明けましたが雨は朝方だけで午後には晴れてきました。ステロイドパルス療法2日目です。特に大きな副作用は感じませんが、やや眠りが浅くなるようです。今朝は午前2時ごろに目が覚め、それからずっとうとうと状態でした。

歩けるようになったので、病棟の中をせっせと歩いています。とはいえ、同じところをぐるぐる周っているとまるで不審人物のようですし、こちらも飽きてきます。

病室の自分のベッドに戻り軽くストレッチをやりました。立位体前屈をすると腓腹神経を切除したところにびびっと痛みが走りました。ベッドの上で座位体前屈をしても痛みません。これは体重がかかるからなのでしょう。ゆっくり様子を見ながらやっていきます。
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秋彼岸
傷が癒えたので入浴許可も出ました。足の傷の上には最新のガーゼ付きの透明な絆創膏を貼っていただいています。右手の上腕にステロイドパルス点滴用のルートがとってあるため、そこを保護し水にぬれないようにしなければいけません。

入浴する直前にお知らせくださいとの看護師の言葉だったので、どのような最新式の防水絆創膏が登場するのだろうと期待して待っていたら、プラスチックの袋を点滴ルートの上からぐるぐると巻き、端を防水テープで止めるというアナログなもので笑ってしまいました。

今日は新館のお風呂で、窓のブラインドの隙間から街の灯が見えます。病院の風呂場らしく介助用の椅子がいくつか並んでいます。小さな浴槽ですが、ひとりで入るにはこれで十分です。入浴するとさっぱりし、身体が温まってよく眠れます。
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秋彼岸
入院生活も2週間を超え、かなり慣れてきました。人間は何にでも順応するそうです。だからこそ生きていけるのでしょう。

病棟の6人部屋で過ごしているといろいろな入退院があります。真ん中のふたつのベッドは眼科の白内障手術患者用で後期高齢者ばかりです。両端の四つは脳神経内科用で、今週ひとり退院されました。主治医との会話では病名ははっきりしていない印象です。

昨日、座っておられず話をするのもやっとという80代の方が入院してこられました。何度も入院されているようです。腎臓機能が落ちていて緊急の血液検査。飲み込みにくいとの訴えがあり食事はできずオムツとなり、心電図をつけて大変そうです。
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秋分
明日は秋分です。今日からステロイドパルス療法が始まりました。1gのステロイドを3日間連続で点滴します。これを1クールとし、今回は1クールのみおこないます。特に変わったこともなく1本目は終了しました。

足首の傷が癒えて自由に歩き回れるようになりましたが、右腕の前腕部に点滴用のチューブが装着されています。ステロイドの点滴が何らかの効果をあげてくれるのか、それによって今後の治療方針も変わってきそうです。
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朝食の後、病棟内を散歩しました。昨夜は雨だったようです。病室では窓側ではないので天候が全くわかりません。外界ではそろそろヒガンバナが咲いているかなあと思いますが、ここでは自然は窓から眺める景色だけです。

ベッドにいると主治医チームの一番若い先生とリーダーの先生が来られました。足首の傷を見たあと、現在時点での検査結果について少し話してくださいました。リーダーの先生にとっても珍しい症例とのことでした。
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秋の夕暮
歩行許可が出て、昨日の夕方、一週間ぶりに歩きました。右脚に加重しても傷は痛まず、金剛山が見える窓まで歩いてきました。自由に自分の足で歩き回れるというのは貴重です。

歩かなくてもお腹は減ります。夕食前に主治医のひとりが明日の採血の同意書を持ってこられました。これは海外へ送られて解析されるそうです。
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爽やか
今日は主治医チームのうちのふたりがベッドサイドに来られました。神経生検の傷に貼っていたテープをはがし、傷がくっついていることを確認して、歩行許可が下りました。これでひとりで歩いて行動できますし、入浴もできます。

診断について「MSですか?」とたずねたところ、「CIDPとMSが合併している可能性があります」とのお返事。検査結果はまだ全部出ているわけではなく、神経生検の結果などは数か月かかるものもあるそうです。

ステロイド点滴はいずれにも効果があるため、まずそこから始めることになりそうです。その前にもうひとつ検査が必要とのことでした。結構珍しい症例のようで、いろいろ調べる必要があるとのことです。
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