優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

初ざくら
桜は古くから日本人に特別に愛されてきた花です。俳句で単に「花」といえば桜を意味します。日本に自生する野生種は九種あり、そこから数多くの園芸品種が作り出されてきました。

その代表格で現代人のお花見のイメージとして定着しているのが、幕末に登場したソメイヨシノです。それ以前のお花見といえばヤマザクラでした。ソメイヨシノはクローンなので一斉に咲きます。

ヤマザクラは木による個性があり、大木になって峰々を彩ります。これらよりもさらに早く咲く桜もあり、散歩していると満開を迎えている桜に出会いました。
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山桜
周囲の山のヤマザクラが開き始めました。二月が厳しい余寒だったのでどうなることかと思っていましたが、その時期にはやはりその花が咲きます。

昨日はしだいに天気が下り坂で夜になって雨の音がしていました。川の水が濁っていたので、夜中にはかなり降ったようです。風も吹きました。桜の時期は雨、曇り、晴れ、風と目まぐるしくお天気が変わります。

寒暖の差も激しく、ここ数日急激に暖かくなりました。前日は暖房器具のお世話になったのに、翌日は汗ばむような気温になり服装の調整が難しいです。ただ、これも桜の季節ならではの風情といえます。花と嵐の取り合わせです。
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「人間は血管とともに年を取る」と言われます。しかし、「人間は免疫とともに年を取る」というのがより正確です。がんの発症は免疫機構からの回避による問題です。

もう一方の最大死因である脳心臓血管系疾患でも免疫系が主なプレイヤーです。動脈硬化の進行には慢性炎症が深く関与しており、免疫細胞が重要な役割を果たします。免疫系の過剰な活性化は血管内皮細胞の機能を障害し、血栓形成や血管収縮を促進します。

免疫細胞の浸潤は動脈硬化プラークを不安定化させ、破裂のリスクを高めます。免疫細胞は感染症から身体を守るには欠かせない働きをしますが、中年期以降に発症が増加する疾病においては二つの顔を持っているといえます。
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花見
私たちの身体は機械のように固定したものではありません。細胞が新陳代謝を繰り返しつつ形態を維持している川の流れのようなものです。常に新しい細胞が遺伝子のコピーを繰り返しつつ入れ替わっていきます。ある程度コピーミスの発生は避けられません。

ミスを起こした細胞には自爆装置が埋め込まれています。身体に害をなさないように自ら死ぬのです。ただ、時に自爆しない細胞も現れます。これががん細胞です。しかし、簡単にはがんにはなりません。免疫細胞がそれを見つけて殺すからです。

若いころはコピーミスの発生は少なく、免疫細胞も活発に働きます。ところが、老化とともにこれらの働きがしだいにおかしくなっていきます。その結果40代に入ると急速にがんが増加し始めます。
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どれほどの名医も適切な薬剤、治療法が開発されなければ治療はできません。1950年代まで結核は長らく日本人の死因の第一位でした。今では結核患者を見たこともない人がほとんどでしょう。それは1964年にリファンピシンという革新的な新薬が発見されたからです。

現代医療はMRIやCTといった多数の機械を扱い江戸時代などとは比べ物にならないほど進んでいます。コレラ、天然痘などの急性感染症の制圧から始まり、大幅に平均寿命を延ばしました。日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えています。

ただ、これは感染症で命を落とす乳幼児や結核で亡くなる青年層がほぼいなくなったからです。昔からがんはありましたが、中高年から患者が増えるがんに罹るまで生きられる人自体が限られていました。がん死が増えた原因は社会の高齢化です。
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春休み
リツキシマブはワンポイントリリーフのような使い方はできるかもしれませんが、副作用の大きさを考えればこの薬が『夢の新薬』であるはずがない。さらに、「有効性」も臨床的な意味に過ぎず、QOLの改善には無関係な場合も多い。

頭を上げる角度が3度増えたとか、10mを歩く速度が1秒速くなったなんて、実生活とは何の関係もありません。患者の生活を大幅に改善するほどの効果があるなら、とっくにMAGNの治療薬として保険適応されています。認められないのはリスクに見合わないからです。

それなのになぜこんな書き方がされるかと言えば、それは医療側の「成果の誇示」、製薬会社側の「あわよくば的思惑」が手を握り合った結果です。研究にも開発にも資金が必要です。そうしたことを考えて『夢の新薬』を見るべきです。
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菜の花
MAGNに関する医学文献には「治療抵抗性」とともに、「リツキシマブがその中でも最も効果が高いとして期待を浴びており」といった言葉が出てきます。これが曲者です。これを読んだMAGN患者はリツキシマブを『魔法の新薬』と誤解します。

リツキシマブは、主にB細胞性悪性リンパ腫や自己免疫疾患の治療に用いられる分子標的薬です。この薬は、B細胞表面に存在する「CD20」というタンパク質を標的とする抗体であり、B細胞を破壊することで効果を発揮します。

MAGNに対し一定の有効性が認められたとする論文もありますが、3分の1の患者には無効で悪化する場合もあります。B細胞を抑制して免疫系全体に影響を与えるため、IVIgのような頻回投与はできません。B細胞はすぐに復活し、効果は一時的です。
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春の昼
医者を過剰に信頼し頼りきりになることは、慢性疾患の治療においては危険です。特にMAGNのような医療側にほとんど情報も実績も無いような稀少難病ではそれが言えます。医者は情報も手段も持っていませんが、何かをしようと考えます。

特にMAGNに精通している専門医なら別ですが、脳神経内科を標榜していても疾患の内容すらろくに知らない場合もありえます。MAGNは個人差が大きく診断が難しい疾病です。CIDPの患者会の中で出会った数人の患者さえ全員症状が違います。

ステロイドを試すなど愚かしいと思いますが、藁にも縋る思いの患者が「CIDPに効くんだからいちかばちかやってみる価値はある」と考えるのは当然です。そして不都合が起きれば苦しむのは患者です。医者側は「希少難病だし患者が望んだ」で終わりでしょう。
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彼岸過ぎ
MAGNの場合はさらに充電する方法もツギをあてる方法もわからない。だから「治療抵抗性がある」という言葉でお茶を濁しています。「治療抵抗性がある」なんて、病気が抵抗しているみたいですが、要するに医療が手出しできないということです。

これらの疾病を治すには、結核の治療を可能にした結核菌の発見と、それに続く抗生物質の発明のような、画期的なブレイクスルーの治療手段が登場しなければ無理です。

ところが、CIDPの古参患者の一部は「先生はちゃんと考えておられる。いろいろ試して治療するものです。患者は信頼してお任せしておけばよい」と言い張ります。MAGNにステロイドを試すなど、医学常識からはすでに明らかにおかしいとされているのにです。
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春暑し
CIDPの古参患者は自分たちが脳神経内科で「治った」経験から、脳神経内科医たちを過剰に賛美する傾向があります。しかし、疾患の病態生理について学べば、CIDP、MMN、MAGNいずれも脳神経内科が治せる疾患ではないことがわかります。

これらは免疫異常によって起きる疾患です。そしてその結果神経がおかしくなる。つまり免疫が川上で神経は川下であり、脳神経内科は診断や症状管理はできても治療はできません。治療できるのは免疫内科など免疫を専門に扱う科です。

ではなぜ今はそこが診ていないのか、といえば免疫の仕組みは複雑すぎて根本的な治療法は無く、症状を抑えることしかできないからです。電池切れを起こした電池へ充電する、破れた服にツギをあてる、脳神経内科ではそれと似たことをしているに過ぎません。
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