優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(194)…□◆□

    夜の雨あがりし露草の青に   優嵐

昨夜は二度地震がありました。深夜の揺れはかなり大きく、1分以上
続きました。「恐い」とまではいかず、「お?これは?」という感じ
で揺れを味わっていました。噴火、地震、台風と忙しい日本列島です。

ツユクサはツユクサ科の一年草です。通勤に使うスーパーカブを置い
ている自転車置き場の横に、ツユクサが咲いています。小さな蛤形の
花が鮮やかな青さです。「月草」「青花」「蛍草」などの別名もあり
ます。古くから布を染めるのに用いられ、露草色、縹(はなだ)色は
この青花で染め上げた色です。

□◆□…優嵐歳時記(193)…□◆□

    新しき書物の匂い燈も秋に   優嵐

秋の夜の燈火です。「春の燈」には艶めいた感じ、「秋の燈」には澄んだ
感じがあります。春燈には遊びを秋燈には学問のイメージがします。秋は
燈火親しむ候と言われますが、空気が爽やかになり、気持ちを集中して
読書に向かうことができるからでしょう。

一昨日、インターネットで注文した新刊書が届きました。新しい本という
のはいいものです。図書館で借りる本もいいですが、新しい本のあの
ぱりっとした感じ、まっさらな雰囲気、それだけで本に新しい魅力が加わる
気がします。

ここで私は「燈も秋に」という言葉を使っています。これは臼田亜浪の
「燈も秋と思ひ入る夜の竹の影」という句を見て真似をしたものです。
歳時記には古今の名句が並んでいます。それをお手本にするのも俳句を
学ぶひとつの方法です。ちなみに、亜浪は私の師で「水煙」の主宰である
高橋信之先生の師である川本臥風の師になります。

□◆□…優嵐歳時記(192)…□◆□

    帰り道はや刈られたる稲田かな   優嵐

今朝も涼しく、九月を実感しています。朝方は黄金色に稔っていた田
が、仕事を終えての帰り道ではすでにすっかり刈り取られていました。
これから一枚、また一枚と刈田が増えていくことでしょう。機械化が
進み、最近では農作業をすべて営農組合にまかせている家も多いです
から、大型機械が入ってあっという間に刈り取ってしまいます。

子どものころは刈り取られたあとの田んぼが遊び場でしたが、最近では
そんな子どもの姿もすっかり見かけなくなりました。藁を束ねて積み上
げてある「ツボキ」の上に乗っかって倒して叱られたりもしましたが、
最近では藁もすぐに燃やされてしまうことが多いですね。

□◆□…優嵐歳時記(191)…□◆□

    それぞれの曲がり角いま虫すだく   優嵐

秋に鳴く虫を総称して「虫」といいます。これだけで秋の季語です。
平安時代からすでに虫という和歌の題は秋にたてられていたという
伝統があります。「もののあわれ」を感じさせますが、これは日本人
に特有の感情のようで、それは日本語とおおいに関係しています。

日本人は虫の音を言語脳で意味のある声として聴きますが、西洋の人
たちは無意味な雑音として処理してしまうそうです。夏の暑さが去り、
夕闇が濃くなる中からリリリ・・と聞こえてくる、虫の声、この情趣
は日本語を母語としない人々には理解されないのか、とある種の感慨
があります。

今朝は雨が降って急に涼しくなりました。いろいろな方々からそれぞれ
の消息を聞き、それぞれの秋を思っています。

□◆□…優嵐歳時記(190)…□◆□

    あぜ道をランドセル行く九月かな   優嵐

今日から二学期が始まりました。始業式を終えた子どもたちがあぜ道を
並んで帰っているのに出会いました。ランドセルの色が新鮮でした。
九月、上旬はまだまだ残暑が厳しいですが、「暑さ寒さも彼岸まで」と
言われるように秋分の日を過ぎると、夏の気配も色あせて秋が深まり
ます。

夏休みが終わるせいか、世間的にも「夏は終わった」というムードが
強くなります。俳人はすでに一ヶ月近く前から秋の気分に浸っています
ので、こうした世の中の空気がまた面白くもあります。

□◆□…優嵐歳時記(189)…□◆□

    嵐去り二百十日のものの影   優嵐

昨夜は6時間近く停電していました。これほど長時間の停電を経験した
のは本当に久しぶりでした。朝、目が覚めると昨日の大嵐は嘘のような
青空でした。しかし、あちこちに大枝やら小枝が飛び散り、看板が倒れ
ているのも目にしました。通行止めになっている道路も。

今日は「二百十日」、立春から数えて二百十日目です。稲の開花期に
あたり、台風の襲来する時期ということで、農家では昔から厄日として
警戒してきました。二百二十日も同じです。台風16号は見事に厄日を
狙ってやってきたということになりますね。


□◆□…優嵐歳時記(188)…□◆□

    暴風雨雲の彼方は盆の月   優嵐

さきほどから停電している姫路です。台風の風は午後7時ごろから
強くなり、今、家のまわりでは風がうなりをあげています。時おり
ぐわっとくるのが凄いです。停電しているので、扇風機も使えず
蒸し暑い夜です。

今日は旧暦の7月15日、お盆です。旧暦ではお盆は必ず満月でした。
この満月を「盆の月」と呼びます。ちなみに次の満月が「中秋の名月」
(9月28日)、その次が「後の月」(10月28日)という
ことになります。季語には月に関するものがたくさんあり、昔の人が
月に寄せる思いは今とは比較にならないほど大きなものだったのだな
と感じます。今夜の姫路の「盆の月」は台風の雲のむこうです。

□◆□…優嵐歳時記(187)…□◆□【野分】
 
   野分くるはためくものをはためかせ  優嵐

「野分」は秋の暴風雨のことです。台風の古風な呼び名と
いえます。草木を分けるということから野分と名づけられた
ようです。『枕草子』や『源氏物語』に野分の描写がある
ように平安時代からすでに使われていた言葉です。

台風よりは意味する範囲が広く、台風の前触れの強風や台風が
それた場合の余波も「野分」といえます。

□◆□…優嵐歳時記(186)…□◆□

    一日を終え白粉の咲く道を   優嵐

「白粉(おしろい)」とは、オシロイバナのことです。熱帯アメリカ
原産の多年草ですが、日本では一年草になります。17世紀にはすでに
日本に渡来している記録があります。フォー・オクロックと呼ばれる
ように、夕方から芳香を放ちながら咲き始め、朝には萎みます。花は
赤、白、黄色、絞りなどがあります。

オシロイバナとの名称は一個ずつできる黒い種子の中に白い粉が
詰まっていることからきたもので、江戸時代には、大人の女性も実際
に白粉として使っていたと解釈できる文献があるそうです。

職場の前の家のまわりにオシロイバナが植えられてています。仕事を
終えて帰ろうとしていると、白と赤のオシロイバナが咲いているのに
出会いました。

□◆□…優嵐歳時記(185)…□◆□

    朝顔や空澄みわたり晴れわたり   優嵐

意外な印象を受けられるかもしれませんが、「朝顔」は秋の季語
です。東南アジア原産といわれるヒルガオ科蔓性の一年草で、花は
朝開いて昼ごろにはしぼみます。葉は三裂して対生です。日本に
渡来したのは奈良時代の末と古く、朝顔の名はすでに『万葉集』や
『源氏物語』『枕草子』に登場します。これらの花は実際はキキョウ
やムクゲであるという説もありますが、実態ははっきりしていません。

当初は薬用として入ったようですが、観賞用の花になりました。
江戸時代に改良が進み、色、形ともに多様なアサガオが生み出され
ました。子どものころは、アサガオの観察日記を書いたものでした。
もうすぐ夏休みも終わりですね。

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