優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(668)…□◆□

   トンネルを抜ける一面雪野原  優嵐

昨日、新幹線が関ヶ原付近にさしかかるとトンネルを抜けた
とたん急に雪野原が広がりました。このあたりは脊梁山脈の
切れ目になっているためか、寒気が内陸部まで吹き込み
やすく、雪の季節には新幹線の泣き所になっています。

今日の東京は昨日の雪があちこちで溶けて凍りつき、歩道が
滑りやすくなっていました。昼過ぎには東京を発って姫路に
向かいました。富士山をすぎるあたりまでは冬の雲が空を
おおっていましたが、その後は真っ青な空が広がりました。
しかし、風が強いのか、浜名湖は白い波頭がたっていました。

□◆□…優嵐歳時記(667)…□◆□

   遠雪嶺びょうぶのごとく展開す  優嵐

東京へ来ています。新幹線が滋賀県に入ると遠くに北近江
から越前に続いていく雪の山々が見えました。しかし、
それよりも小田原付近からの雪景色に驚きました。
新幹線はそのため徐行運転。姫路では雪の気配もなかった
だけに、さらに驚きでした。

ここ数年何度か冬に東京へ来ていますが、雪にあったのは
初めてでした。新横浜から東京まで大都会の街並みが
すっかり雪化粧をしています。地下鉄の駅を出ても雪は
降り続いており、そのまま夕方まで降り続きました。

□◆□…優嵐歳時記(666)…□◆□

   大寒の鉄骨組まれ風の中  優嵐

今日は二十四節気の大寒。大寒には非常に寒いという意味
も含まれています。今日も寒い一日でした。ただ、気温は
低いですが、日の光にほのかに早春の気配が漂い始めるの
もこのころからです。

マウンテンバイクで図書館まで行ってきました。途中、
アパートの建設現場があり、身を切るような風の中で
作業員の人たちが鉄骨を組んでいました。真夏と真冬、
屋外で作業をされる方を見ると、本当に大変だろうなと
思います。

□◆□…優嵐歳時記(665)…□◆□

   髪切って風花の中を戻りけり  優嵐

今日は冷え込みました。北風が冷たく、雲の多い空から
時おり雪片がちらほらと落ちてきました。こうした雪の
ことを「風花」といいます。髪を切ってきました。
行きも帰りも歩いて、耳や頬は冷えましたが、身体は
温まりました。

歩くのは寒い季節がいいですね。暑い時期だと汗だくに
なってしまいます。ですから、夏はマウンテンバイクで
風をきって出かけます。オートバイというのもいいです。
車は雨の日、または大きな荷物があるとき。季節に
よって移動手段を変えていくのも楽しいものです。

□◆□…優嵐歳時記(664)…□◆□

   枯れ深む静かな山の息づかい  優嵐

冬至からほぼ一ヶ月がたち、かなり日が長くなってきた
のがわかります。野山は今、枯れ一色で、山を見上げても
すっかり落葉しつくして、竹と針葉樹の緑以外には色が
ありません。すべてを落としつくし、隙間の多くなった
山の情景はそれはまたそれでいいものだなと思います。

冬の山を指す季語には「冬山」「枯山」などとならんで
「山眠る」というのがあります。山水画の大成者郭熙の
『林泉高致』にある「冬山惨淡として眠るが如し」が
出典です。山が、冬日の下で春を待ちつつゆったりと
安らいでいる、そんな印象を受けます。

□◆□…優嵐歳時記(663)…□◆□

   ダウンジャケットただ一枚で着ぶくれる  優嵐

ナイターでテニスをしてきました。プレーしている間は
汗ばんできますが、中断して休んでいる時は、身体が冷え
ないようにダウンジャケットを羽織っていました。
日が暮れたばかりの時は風がありましたが、夜になると
おさまりました。

「着ぶくれ」も冬の季語です。何枚も重ね着をして体が
ふくれて見えるさまをいったものです。ダウンジャケット
は中に羽毛が入っており、そのせいでTシャツの上に一枚
着るだけでも着ぶくれたような雰囲気になってしまいます。
軽くて暖かく冬のアウトドアでは重宝します。

□◆□…優嵐歳時記(662)…□◆□

   葉ぼたんの渦くるくると空に向き  優嵐

花の乏しいこの季節、多くのお宅の庭に葉ぼたんが植えら
れています。アブラナ科のキャベツの変種で、キャベツの
ように結球せず、葉が牡丹の花のように見えることから
こう呼ばれています。原産地の西ヨーロッパからオランダ
を経由して江戸時代の後期に日本にもたらされました。

明治時代の中ごろから観賞用として本格的な品種改良が
始まり、江戸ハボタンといわれる東京丸葉系、葉が細かい
縮緬状の名古屋ちりめん系、その中間の大阪丸葉系、
切れ葉となるさんご系と特徴のある品種が育成されました。
門松にも使われ、お正月の生け花としても喜ばれます。
春になると茎が塔のように高くなって、そのあと花が
咲きます。

□◆□…優嵐歳時記(661)…□◆□

   冬の鳥落葉松林のてっぺんに  優嵐

今日の句で詠んでいるのはカワラヒワです。
よく針葉樹の上にいます。翼の黄色が目印で、双眼鏡で
見るとよくわかります。

今日はホオジロジョウビタキも見ました。これで25種です。
ホオジロは澄んだ囀りに気づいてあたりを見回すと、数羽
の群れがいました。人間が周りで動いてもあまり気にせず、
平気で囀っています。

ジョウビタキは一羽で電線に止まっていました。羽の紋付
ですぐにそれとわかりました。昨日の雨で水かさが増し、
水流が強くなっているのでしょう。市川の鴨類はいつもの
堰のところから少し下流の澱みに引っ越していました。

□◆□…優嵐歳時記(660)…□◆□ 【どんど焼き】

   どんど焼き流して雨の降り続く  優嵐

昨日からの雨が一日中降り続きました。「どんど焼き」は
小正月の火祭り行事で「左義長(さぎちょう)」とも
呼ばれ、神社の境内で大きな焚火をします。焚火の中心に
なる柱は山から伐ってきた栗や楢で、これに松や注連飾り
を結わえて焼きます。この煙に乗ってお正月様が帰ると
考えられているのです。

書初めもこの火で焚いて、その燃えさしが高く舞い上がる
と字が上手になるといわれたものです。この火は若火とも
呼ばれ、神聖な力があるとされ、餅や団子を焼いたりも
します。今日は朝から大雨の気配でしたので、どんど焼き
を明日に延期すると町内放送が流れていました。

□◆□…優嵐歳時記(659)…□◆□

   川に鷺枝に烏や寒の雨  優嵐

朝からどんより曇っていましたが、午後から雨になりました。
「寒の雨」は寒中に入って降る雨で、冬の雨よりも寒さも
冷たさも厳しいイメージがあります。しかし、今冬は十二月
の後半がとても寒かったので、寒に入ってからの方がむしろ
暖かく感じます。

今日は寒に入って九日目です。この日に降る雨を特に
「寒九の雨」といい、豊年の兆しとされています。雨が降り
出す直前に川べりを歩いてダイサギとハシボソガラス
を見ました。冬が深まり花が乏しいころですので、句に詠む
ものも鳥が多いと気づきました。

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