優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(744)…□◆□

   とどまれと思えし今の花盛り  優嵐

一日中雨が降り続きました。満開を迎えた桜の下はすで
に散り始めた花びらで桜色に染まっています。雨でも
晴れでも桜は変わりなく咲いて散っていきます。咲き
始めたのが先週の半ば。暖かい日が続いたせいか、開花
のスピードは速く、最初の雨でもう散っていこうとして
います。

桜ほど、時間の過ぎ去るのを止められたら、と思わせる
花はありません。ただ、あっという間に咲き、はかなく
潔く散ってしまうからこそ桜が日本人にこれほど愛され
たのだ、と思うのも確かなのですが。

060410

□◆□…優嵐歳時記(743)…□◆□

   光と陰たたえ咲き満つ夕ざくら  優嵐

姫路、平地では染井吉野がほぼ満開です。昔の詩歌に
登場するのは山桜ですが、現代人の桜のイメージは
やはりなんといってもこの「染井吉野」につきます。
葉が出る前に花が枝一杯に咲き、あたり一面を桜色に
変えてしまうような華やかさは、この桜ならではの
ものです。

目を山に転じれば山肌を薄くれないに彩っているのは
山桜です。日に日に桜が開いていき、山に灯りが点って
いくようです。山桜は若葉の色が明るいレンガ色をして
いて、山の中でもよく目だちます。花の色は染井吉野
よりさらに淡く、そばで見ると白に近い桜色です。

060409


□◆□…優嵐歳時記(742)…□◆□

   風の音終日強しよなぐもり  優嵐

「よなぐもり」とは黄砂によって太陽が輝きを失い、
曇ったようになる現象をさす季語です。今日は一日中
強い風が吹き、前の山も霞んで見えるほどの黄砂でした。

黄砂は、ユーラシア大陸の乾燥地帯(ゴビ砂漠、タクラ
マカン砂漠など)や黄土地帯で強風により吹き上げられ
た多量の砂塵が上空の風に運ばれて日本、韓国、中国
などで降下する現象です。

三月から五月に集中しますが、これは、中国北西部から
北部にかけての乾燥域を通過する強風をともなう気象
擾乱がこの時期に集中しているためです。

□◆□…優嵐歳時記(741)…□◆□

   新任のあいさつ運ぶ春の風  優嵐

昨日から近くの小学校の新学期が始まりました。暖かく
いいお天気で、始業式は外でおこなわれたらしく、
新しく着任された先生方のマイクを通してのあいさつが
風に乗って家まで聞えてきました。

すでにベテランの先生、「初めてです」という新人の
先生、それぞれに声に個性が感じられます。子供たちも
一年進級し、クラス替えがあったりもして、また新鮮な
気持ちでしょう。

060407

□◆□…優嵐歳時記(740)…□◆□

   なかなかに開けぬ踏切花曇  優嵐

桜の咲くころはからりと晴れるよりは、うす曇でどことなく
はっきりしないお天気の日が多くなります。この天候を
「花曇」といいます。水蒸気が多く生暖かく、だるさを
ひきずるような雰囲気になりがちです。ただ、そこにも
「花」という言葉がありますので、背景に華やかさが
加わります。

増位山の有明の峰に立っていると、上空をイワツバメ
飛び交っていました。人家にやってくるツバメとは異なる
種類で、ツバメよりずんぐりした印象を受けます。翼が
短く腰が白いのが特徴です。周りの山々を山桜が彩るなか、
群れ飛ぶイワツバメの姿は、また春らしい景色です。
これで野鳥は35種になりました。

早くも森の中でコバノミツバツツジが咲き始めているの
を見かけました。

060406

□◆□…優嵐歳時記(739)…□◆□

   五分咲きの桜や今宵月上弦  優嵐

昨夕から降り始めた雨はお昼過ぎまで降っていました。
家のまわりにある桜は、三分から五分咲きというところ
です。明日はいいお天気のようですので、さらに開花が
進むでしょう。

市川をはさんだ前の山でもあちこちで山桜が咲きだして
います。淡い桜色が山肌に浮かぶさまは、これこそ
日本だなぁ、と感じるものです。この時期になると、
山のどこに桜が生えているのかひと目でわかります。

今日は陰暦では弥生八日。桜を見上げていたら、その
視線の先に上弦の月が浮かんでいました。

060405

□◆□…優嵐歳時記(738)…□◆□

   目白きて紅白梅の蜜を吸う  優嵐

家の前のソメイヨシノはどんどん開花が進んで、朝と昼
では開いている花の程度が変わっています。随願寺の
梅林では、最も遅咲きらしい八重の白梅がようやく五分
咲き程度に花を開いています。ほんとうに真っ白な梅で、
実に清らかな感じがします。

最初に咲き始めていた紅梅の何本かはすでに花の盛りを
終えて、かなり散っています。紅白の梅がそろって咲く
中へメジロが4,5羽やってきて、枝を飛び回りながら
盛んに蜜を吸っています。「目白」そのものは夏の季語
になります。

060404

□◆□…優嵐歳時記(737)…□◆□

   咲き初めし枝をかすめて夕燕  優嵐

いいお天気で暖かな一日でした。家の前の桜もついに
咲き始めました。もし暖かい日が続くなら今週末が
お花見のピークになりそうです。

随願寺ではまだソメイヨシノは咲き出していません。
今日、森でアオゲラを見ました。聞きなれない鳴き声
にきょろきょろ見回していると、目の前のヒノキの幹
を登っていく姿が見えました。

メジロウグイスも見ました。ウグイスの囀りはすで
にかなり前から耳にしていましたが、ようやく姿も
見ることができました。これで34種です。

夕方、空を見上げると四、五羽のツバメが囀りながら
素晴らしいスピードで飛び回っています。高速で飛翔
しながらの自在な方向転換はこの鳥独特のもので、
思わず見とれてしまいました。

060403


□◆□…優嵐歳時記(736)…□◆□

   雨近き街路曲がれば土佐水木  優嵐

雨はお昼ごろにいったんあがり、再び一時的に激しく
降りました。ぽつぽつとソメイヨシノが開花を始め
ました。電線にツバメのつがいが止まっているのも
見かけました。

昨日、雨が降り始める前に近所を歩いていたら、
思いがけず満開のトサミズキを見つけました。花を観賞
するために庭木として植えられますが、花の時期が
終わると何の木かわからなくなります。

もともとは高知県(土佐)の蛇紋岩地域だけに自生して
いたところからこの名になりました。

060402


□◆□…優嵐歳時記(735)…□◆□

   風冷えて彼岸桜の散り初むる  優嵐

姫路ではまだソメイヨシノは咲いていません。随願寺
の境内に彼岸桜が一本あり、梅と隣り合わせて咲いて
います。桜の中では最も開花が早く彼岸のころに咲く
ので、この名で呼ばれます。

少し気温が低めですが、彼岸桜はそろそろ散り始めて
います。境内には山桜もあり、梅のあとは桜を楽しめ
そうです。午後からお天気が下り坂で、明日は雨、
予報では桜の開花をうながす暖かい雨になる模様です。

060401


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