優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(711)…□◆□

   夕空にぴたり貼りつき春半月  優嵐

午後4時半ごろ、近所を歩いていてふと空を見上げると
中天に薄い半月が出ていました。真冬ならそろそろ暗く
なり始める頃ですが、まだまだ夕陽が西に出ていて、
月は所在なげです。

鶯の声も初音から毎日聞こえるようになり、オオイヌノ
フグリの花もかなり開いてきました。日中はいいお天気
であればかなり気温が上がり、スエットシャツ一枚でも
いいくらいです。

□◆□…優嵐歳時記(710)…□◆□

   啓蟄の日の柔らかき雨の中  優嵐

今日は二十四節気の啓蟄です。冬の間、地中ですごもりを
していた虫や蛇、蛙などが暖かくなって地上に出てくる
時季にあたります。柳の枝も少しずつ芽が膨らんできて
いるのでしょうか、少し緑めいて見えました。

昨夜からすでに雲が出て、月はぼんやりと霞んでいました
が、朝から雨になりました。春らしい静かに降りしきる雨
でした。夕方にはやんで、川沿いを散歩していると、
カワセミが低空飛行で川筋に沿って飛んでいきました。

□◆□…優嵐歳時記(709)…□◆□

   佐保姫のエチュード窓の初音かな  優嵐

春らしい穏やかな晴天の姫路でした。朝、本を読んでいる
と「ホー、ケキョ」という鶯の声が聞こえてきました。
あの独特の音色、一瞬手を止めて、もう一度聞えるのを
待ちました。まだ最盛期の見事な鳴きっぷりとは少し
差がありますが、まぎれもなく鶯です。

鶯は季節によって鳴き声が大きく変わります。冬の間は
「笹鳴き」と呼ばれるチャッチャッという地鳴きですが、
それが繁殖期の春になると「ホーホケキョ」という
おなじみの鳴き声になります。その鮮やかな鳴き声は古く
から賞賛されてきました。

その年初めて聞いた鶯の鳴き声を「初音」といいます。
初音を聞くと、いよいよ春も本番だと感じます。
佐保姫というのは春をつかさどる女神のことで、秋を
つかさどる竜田姫と対にして考えられています。春と秋、
日本人が太古から称えてやまない美しいふたつの季節です。

□◆□…優嵐歳時記(708)…□◆□

   薄氷をぱりぱりと踏む朝快晴  優嵐

日の出前に散歩をしてきました。雲ひとつない晴天で、
放射冷却現象のために冷え込み真っ白に霜がおりて
いました。霜柱を踏んで歩いていくとやがて土の道に
残った水溜りが凍っているのに出会いました。

「薄氷(うすらひ)」は春先のごく薄く張る氷を
いいます。表面に氷の膜が張っている程度の凍り方で
すから、足で踏むと、軽やかな音がします。その感触
と音を楽しみながら歩きました。


□◆□…優嵐歳時記(707)…□◆□

   藪椿水音響く境内に 優嵐

夕方、近所の増位山にある随願寺へ行ってきました。
梅林があるのですが、少し標高があるためか、紅梅が
ほんの一輪咲いていただけでした。蕾はほころび始めて
おり、その膨らみきった雰囲気が初々しく感じられ
ました。

境内に人影はなく、隅に藪椿が花をつけていました。
こちらもまだ咲き始めたばかりのようで、蕾がたくさん
ついていました。展望台から姫路市街と姫路城、その中
を蛇行しながら流れていく市川、さらには播磨灘とそこ
に浮かぶ家島群島を眺めました。

060303


□◆□…優嵐歳時記(706)…□◆□

   如月の川みず色に流れけり  優嵐

かなり日が長くなってきました。昨日の雨で水かさを
増した市川のほとりを散歩してきました。対岸の小山に
アオサギのコロニーがあるのに今日初めて気がつき
ました。50羽ほどが裸木にとまっています。普段は単独
行動の彼らですが、夜はこうして集まって眠るのですね。

近くにあった小さな梅林がいつのまにかすっかり切り
払われ、跡地にブルドーザーが入っていました。田んぼ
一枚分ほどの梅林でしたが、なんだか寂しい気分です。
キャタピラー跡に水溜りができていました。

田んぼの畦を歩いていると、足元に小さな青い花が開き
始めているのに気づきました。オオイヌノフグリです。
すぐに畦一面がコバルトブルーの小さな花におおわれる
ことでしょう。

060302


□◆□…優嵐歳時記(705)…□◆□

   アスファルトに映る春雨傘の色  優嵐

昨夜遅くなって降り始めた雨が一日降り続いていました。
このところ毎週のように水曜日は雨です。その中で少し
ずつ少しずつ木の芽が膨らんできています。雨が続くの
はあまり好きではありませんが、やはりこの雨が日本の
緑を支えていると思います。

傘をさして歩いていると、濡れたアスファルトに傘の
色が映り、カラフルです。ビルから見下ろすと、色とり
どりの傘が行ったり来たりしているのが見え、それを
眺めているのも楽しいものです。


□◆□…優嵐歳時記(704)…□◆□

   グラタンのマカロニ熱き二月尽  優嵐

二月が終わることを「二月尽(にがつじん)」と詠みます。
28日しかなく、「二月は逃げる」といわれるほど終わるのが
速く感じる月です。今年はオリンピックがあったので、
いっそう過ぎ去るのを速く感じられた方が多かったのでは
ないでしょうか。

三月になればもう春も半ばです。進学、就職、引越しなどで
あわただしく過ごされる方も多く「三月は去る」ともいわれ
ます。それでも日に日に春らしさは増していきます。冬に北
から渡ってきた渡り鳥たちがしだい帰り支度を始めるのも
このころです。


□◆□…優嵐歳時記(703)…□◆□

   轟々と堰落ちる水冴返る  優嵐

北風が冷たい一日でした。「冴返る」は冬の季語「冴ゆ」
を受けたものです。春めいていくぶん暖かい日が続いた
あと、またにわかに寒さがぶり返すことをさし、「寒の
戻り」などともいいます。

冬型の気圧配置になって、冷たい北風が吹き、思いがけず
太平洋側でも雪が降ることがあります。一度暖かさを経験
しているだけに、寒さをひとしお感じます。

このところ雨がまとまって降り、川の水かさが増して
います。いつもは鴨たちがたくさんいる堰のところでも
鴨の姿は見えず、水音ばかりが大きく響いていました。


□◆□…優嵐歳時記(702)…□◆□

   春眠を覚ます窓打つ雨の音  優嵐

二月の後半になって本当に雨が多いです。深夜から降り
始めた雨が朝方はかなりの風をともなって激しくなり、
窓に当たる雨音で目が覚めました。午前中雨が降り続いて
いました。

「春眠」は孟浩然の「春眠暁を覚えず、処々に啼鳥を聞く。
夜来風雨の声、花落つること知んぬ多少ぞ」に由来した季語
です。春の朝の眠りのたゆたう心地をうまく表現したもの
として、一般の表現にもよく用いられるようになりました。


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