優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

半夏生
7月1日は雑節のひとつ半夏生でした。梅雨明け以降急激に気温があがり、日の高い間の外出は必要最小限にしようと考えてしまいます。半夏とはカラスビシャクのことで、これが生える時期からとられたといわれています。

「半夏生」という名前の草もあります。カラスビシャクとは別の植物で、こちらの名前の由来は、半夏生の頃に花が咲くからというものと、葉の一部を残して白く変化する様子を「半化粧」とし、それが「半夏生」になったというものがあります。
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明早し
異例の早い梅雨明けで、早くも日中は厳しい暑さになっています。犬を散歩させたりウォーキングに勤しむ人たちも早朝の時間帯を選んでいます。これからの季節は日中がむしろ静かです。

川べりにクズが繁茂しています。クズの和名は大和国(奈良県)吉野川上流の国栖が葛粉の産地であったことに由来します。北海道から九州まで日本各地に分布しています。

クズは日本原産と考えられ19世紀半ばにアメリカに持ち込まれました。東南部の諸州で大繁茂し、生態系、経済、文化など多くの面で深刻な脅威となっています。
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明易し
ユウゲショウは北米大陸南部から南米大陸原産のアカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。明治時代に鑑賞用として入り、関東以西で野生化しています。花の時期は夏から初秋(5月〜9月)です。季語としてはまだ採用されていません。

名前は夕方から咲くことに由来すると言われますが、昼間でも咲いています。早朝に散歩しているとピンクのユウゲショウが咲いているのを目にしました。俳句で「夕化粧」というとオシロイバナを意味しますが、これは仲秋の季語です。

そのためアカバナユウゲショウとも言われますが正式な名前はユウゲショウです。オシロイバナは「おしろい」の季語で詠まれることもあります。「夕化粧」はこの花に譲って、これを夏の季語にしたらいいと思います。
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夏の朝
自宅の近くに銀の馬車道のモニュメントがあり、その傍らに花壇があります。日曜日の早朝に散歩に出たら、ボランティアの方なのか数人で花壇に水やりをされていました。

いつも季節の花々が植えられ、地域の方たちが揃って植替えをされているのをよく見かけます。今はハナウリクサ、センジュギク、サルビアなどが咲いています。
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カンナ
カンナは真夏の炎天下が似合う花です。熱帯アメリカ原産のカンナ科カンナ属の一群を指し、19世紀中ごろから欧米で品種改良が重ねられ現在のような姿になりました。

花の色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色など多彩です。耐暑性は強く乾燥にも強く栽培しやすい花で真夏の花壇を彩ります。花は6月から10月頃まで楽しめます。
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枇杷
ビワはバラ科の常緑高木で中国南西部原産です。実が楽器の琵琶に似ていることから名づけられました。日本には古代に持ち込まれたとされ、本州の関東以西の沿岸部、石川県以西の日本海側、四国・九州に分布しています。

実は甘く中に大きな種があります。花は11月〜12月に咲き、多数の実ができるため、摘果しなければ食べるに足るほどの実にはなりません。
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アナベル
アナベルはアメリカノリノキ(アメリカアジサイ)の園芸品種の名前です。北アメリカ東部原産で野生種はまばらな装飾花がつく程度でした。品種改良によって花房に装飾花をたっぷりつける現在のようなものになりました。

大きなものでは花房が30cmにも及ぶそうです。真っ白なものの他に近年ではピンクのものも作出されています。
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磯鵯
先日、近所を散歩していたら玄関先からイソヒヨドリが飛び立ってきました。見れば芋虫のようなものをくわえています。イソヒヨドリはその名前の通り磯近くが生息場所でしたが、21世紀以降内陸部にもしだいに住処を広げています。

囀りは澄んで美しく羽の色もよく目立ちます。それほど人を恐れず、人家の近くで屋根の上で囀っていたりします。イソヒヨドリやカワセミは環境の変化に適応して生息域を広げている野鳥だと思います。
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のうぜん花
ノウゼンカズラはノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉性つる性木本です。あのオレンジ色、まさに真夏の花です。

JR播但線と国道312号線が市川に並行して走っている、かつての香寺町と姫路市との境あたりに名城酒造という酒造会社があります。昔は会社の建物の壁いっぱいにノウゼンカズラを繁らせていて、列車からも車からも印象に残る風景でした。

英語の名前は「トランペット・ヴァイン」あるいは「トランペット・クリーパー」「トランペット・フラワー」といいます。これは花の形がトランペットに似ているからで、確かにそういわれればそうです。
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グラジオラス
グラジオラスが咲き始めました。グラジオラスはアヤメ科グラジオラス属の総称です。原産地はアフリカ・地中海沿岸で、日本には明治時代に入り唐菖蒲、阿蘭陀菖蒲とも呼ばれました。

名前はローマの剣のグラディウスに由来します。古代ローマ時代から栽培されており、薬用、食用として、また儀式や行事にも用いられました。

戦士たちは勝利を祈ってグラジオラスを持ち歩き、戦場で掲げることで「剣のように力強く戦う」という決意を示したとされています。そのため、グラジオラスは「勝利」や「勇敢さ」の象徴とされていました。
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