優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(2600)…□◆□

  あじさいに降る雨優し山の寺   優嵐

お昼ごろ山へ散歩に行ったら雨が降り出しました。かなり激しく降っているというのでない限り、雨でも山を歩きます。雨のときはまた雨なりの面白さがあるものです。あじさいは雨の時の方がいきいきとして見えます。合歓の花が咲き始めています。里ではカンナも咲き出しました。

最近お好み焼きをよく作るのですが、いろいろ具を変えて、意外にイケるではないか、と思ったのが梅干です。普段はあまり梅干を食べません。もともとお漬物の類をほとんど食べないのです。しかし、はちみつ梅干をちぎって入れてみたらこれがなかなかな美味しさでした。夏だからかもしれません。

IMG_1243<半年>
一年の半分が過ぎた
この半年の出来事を
年の初めに予想していた人はいないだろう

変化とはこういうものだ
それでも一日一日は確実に過ぎ
今日は過去になっていく

この先の半年に何が起こるか
それだって誰にもわからない

何が起こってもかまわない
起こることは起こるし
起こらないことは起こらない

□◆□…優嵐歳時記(2599)…□◆□

  萱草の花を残して草刈られ   優嵐

増位山の蛇ヶ池周辺の草刈が行われていました。枇杷の木の周辺もきれいに草が刈られていましたが、萱草は残されていました。なんだかうれしくなります。枇杷はどんどん熟れ、野鳥と散歩に来る人がちょいちょいとつまんでいます。もぎたてを食べる贅沢が楽しめるのです。

空は曇りがちでしたが本格的な雨にはなりませんでした。散歩をして藩主・榊原政邦の墓所の前に来た時、バラバラと音がしました。にわか雨です。しかし、このあたりはシイやカシなどの常緑広葉樹の高木が多いため、にわか雨程度では地面まで濡れません。見上げると隣り合った樹木同士がジグソーパズルを組み合わせるように葉を広げ、空を分け合っています。

IMG_1250<いたちごっこ>
都市銀行に新しく口座を開こうとして
資料を取り寄せた

口座開設にはインターネット取引と
クレジットカードがセットになっている
説明書を見ながら必要事項を
書き込んでいく

これがほんの数年前に比べてさえ
とても複雑になっている
個人の身分証明も二種類必要
以前なら運転免許証だけでよかったのに
居住を証明するものまでいる

キャッシュカードの種類も三つ
さらにあれこれと注意事項があり
それらの細かい説明をすべて読んで
理解して書き込んでいかなければならない
犯罪防止の意味もあるだろう

Webの登場で便利になった
そして犯罪の手口も巧妙多彩になった

これからさらにサービスが増え
書き込まなければならない事項
用意しなければならない証明書は
増えていくだろう
テクノロジーはますます進化し
いたちごっこも複雑高度になる

□◆□…優嵐歳時記(2598)…□◆□

   七月や開きし窓より雨の音   優嵐

目が覚めると雨が降っていました。なんだかほっとしました。このまま猛暑の真夏に突入するのかと思っていたのが、通常の梅雨空に戻ったからです。週末から来週初めにかけては曇りや雨のマークが並んでいます。連日35℃などという暑さはもう少し先でいいです。

節電は今年日本の最大のテーマのようです。私はもともとエアコンを持っておらず、扇風機オンリーの生活です。自宅で仕事をしますから、風通しのいい部屋に涼しい服装でいれば、充分過ごせます。本来日本の夏は熱帯のような服装で過ごすのが正しいと思います。

ビジネススーツのルーツは英国です。イギリスは緯度の高いところに位置する国で、その夏は日本のような高温多湿の夏とは全く違います。そこで発達したビジネススーツをそっくりそのまま真似るのは無理があります。風土にあった服装が最も効率をあげるのではないでしょうか。

IMG_1215<その前に>
断捨離の結果
掃除と片付けがうまくなった

ポイントは
出したら仕舞う
汚れる前に掃除する

これまでは
またすぐに使うからと
使ったものを仕舞わずにいたり
汚れが目だつまで掃除を伸ばし
乱雑さを助長していた

貯まるまで待つのはお金だけでいい

□◆□…優嵐歳時記(2597)…□◆□

  それぞれに木陰を持てり夏木立   優嵐

七月になりました。「夏木立」は青葉の茂る盛んな木立のさまです。季語では「夏木立」と「冬木立」「枯木立」といいますが、春と秋についてはありません。その姿がありありと想像できるようなものが季語になっているのでしょう。

この夏木立は梅林の梅の様子です。背は低いのですが、青々と葉を茂らせて木の下に小さな陰ができています。真昼だと、それがぽっちりとおのおのの木の下に独立してあります。あずまやの下でこれらの風景をのんびり見ていると、ヒョウモンチョウがやってきて、しばらく天井裏や梁などに止まりうろうろとしていました。ふと目を離したすきに姿が消えていました。

写真は<墨田の花火>というガクアジサイの変化種です。ガクアジサイの装飾花が八重になっていて、枝が長く、不思議な魅力があります。これを花火に見立てて名づけられたようです。内側の花との取り合わせが面白く、アジサイの花壇にこれがあると、また異なる華やかさです。

IMG_1309<脚>
そこへたどり着く方法は無い
そこは自分の脚だから
自分には脚があるのに
脚が欲しくて脚を捜して歩いている

どこへ行ったら脚が手に入るだろうと
長い道のりを歩き続ける
脚はすでにそこにある
それに気づくだけでよい

どんなに努力しても
頑張っても
脚にたどり着くことはできない
脚はすでにそこにあるのだから

□◆□…優嵐歳時記(2596)…□◆□ 

  青空の濃くあり枇杷の実熟れている   優嵐

今日も増位山の枇杷の実をいただきました。もぎとって食べるという行為そのものが楽しいですね。蛇ヶ池のハナショウブはそろそろ終盤です。今は枇杷の木のまわりに萱草が咲いています。ユリ科の多年草で、濃い橙色のユリに似た花です。いかにも暑くなる時期にふさわしい色合です。

36℃を示す温度計と湧き上がる入道雲を見ていると、もう梅雨は明けていると考えた方がよさそうです。早朝が最もすごしやすく、日中は風がよく通るところにいれば快適です。例年なら梅雨の最盛期なのですが…。

IMG_1251<暗闇>
どれほど恐ろしく思える状況でも
それ自体が問題なのではない
恐ろしくしているのは自分自身の反応なのだ

子どもの頃
暗闇が怖くてどうしようもなかった
暗闇が問題なのではない
恐ろしいと思う自分の心が問題だったのだ

自分がどこにいるかよく見よう
自分の状況を意識できれば
暗闇に光を灯すことができる




□◆□…優嵐歳時記(2595)…□◆□

  夏草の刈られし後の香の中に   優嵐

梅雨は明けたのではないかと思うようなお天気が続いています。火曜日の日中も35℃まで気温があがりました。木陰は風が通って涼しく、梅林の東屋でゆっくり周囲の竹林が風に揺れているのを見ていました。梅雨の間に通路まで草の丈が高くなっていましたが、この週末に草刈をされ、すっきりしていました。

そこに足を踏み入れると、刈られた草の香りが漂い、不思議なリフレッシュ感がありました。夏の草は生長のエネルギーが充溢しているため、草の香も高くなるのだそうです。放生池でカワセミにまた会いました。飛び立つ一瞬の光が他のどの野鳥とも違っているので、すぐにわかります。

池の面は今ほとんどが菱と河骨に覆い尽くされています。冬には全く何もありませんでしたから、春から夏にかけてのこの繁茂は驚きです。境内のボダイジュにアオスジアゲハが来ていました。黄色い花に青いストライプが映えています。

IMG_1254<枇杷の実>
池のほとりの枇杷の実が
黄色く色づいてきた

好きなように採っていいらしい
熟れた実をもいで
皮を剥いた

冬に咲いていた
白い小さな花を思い出す

赤や黄色が食欲を刺激するのは
果物の熟れた色だからだ

大丈夫
美味しいよ
甘いよ
私を食べていいよ


□◆□…優嵐歳時記(2594)…□◆□ 

  夏嵐燕くるりと腹見せて   優嵐

台風の影響なのか風の強い日が続いています。高温多湿であっても風が吹くと涼しいと感じられます。薫風、青嵐、南風などすべて「夏の風」の季語です。これが強くなると「夏嵐」と言います。緑が最も勢いよく茂る時期であり、それらが強い風にあおられて揺れ動く様子は躍動的で爽快です。

坂井泉水さんの肖像画第18作です。線描に油性マーカーを使っています。この肖像画は少し時間をかけ、いろいろ考えながら描きました。どのように描くかということと同時に何で描くかも考えました。ミクストメディアで描いていますので、画材をどのように使うかは使いながら考えていくという感じです。元になった写真は93年4月に世田谷で撮影されています。


IMG_1227
シナベニヤ(450×310mm)、アサヒペン水性多用途つや消し白、万年筆&プラチナ顔料ブラック・顔料ブランセピア、TAJIMA油性ペイントマーカー、サクラクレパス

髪が水性顔料インクの万年筆、肌とセーターはクレパス、線描は油性マーカーという組み合わせで、まだ画材の使い方には考慮の余地があります。油性と水性の画材を同じ画面で使うには画材同士の反応も考えなければならないと実感しています。単独の画材、たとえば鉛筆は鉛筆だけ、透明水彩は透明水彩だけ、油彩は油彩だけで描くなら、その画材の特徴をつかめば描けます。

そういう描き方をすればよかったのでしょうが、いつでも中断し再開できるシンプルな画材で描きたい、しかし、色彩も描いてみたいという都合のいい願いを持ったため、こういうことになりました。今も紙とキャンバスと地塗りボードの微妙なところで試行錯誤しています。

彩色にはクレパスやクレヨンといったオイルパステルを使いたい。線描を最も描きやすいのは紙です。しかし、紙はオイルパステルには不向きです。修正が効きません。キャンバスは中間でいいのですが、張りキャンバスは下が柔らかすぎ、さらに嵩も高く収納に問題が出ます。値段も高い。キャンバスボードでもいいのですが、こちらも値段が高く、大きさにもさまざまな制限があります。

一番自由に画面の大きさを設定でき、値段が手ごろで彩色の修正も都合がいいのが、アクリル樹脂塗料を地塗りしたボードです。しかし、これについては線描で試行錯誤の段階です。顔料インクの筆ペン、水性顔料マーカー、油性マーカーこれらを全部試し、水性顔料インクはアクリル樹脂塗料の上では摩擦に弱く、定着しにくいことがわかりました。下描きを消す時に問題が出るのです。この絵の髪は顔料インクですが、このあと定着剤をかけて固定してしまうので、問題にはなりません。

油性マーカーは製品により、インクが弾かれて描けないものがあります。さらにくっきり描けたものであっても、今度は彩色の段階でオイルパステルのオイルと反応して色が溶け出してくることがあるのです。現在水性塗料地塗りボードへの線描の最終候補として残っているのは、同じ水性アクリル塗料のペンキです。これを筆で線描する。次の肖像画はそれでいくつもりです。


□◆□…優嵐歳時記(2593)…□◆□  

  雲の峰四方八方立ち上がる  優嵐

雲の峰とは、夏空に湧く積乱雲を意味します。日差しを受けて白く輝き、その偉容を「雲の峰」と呼んだ先人のセンスに脱帽です。土曜日は急激に気温があがり、播磨灘の上にも中国山地の山なみの上にも入道雲が湧き上がっていました。

坂井泉水さんの月命日です。今日はZARDの三枚目のシングル『もう探さない』(91.11.6)のカップリング曲『こんなに愛しても』を取り上げます。三枚目のオリジナルアルバム『HOLD ME』(92.9.2)にも収録されていますが、アルバムタイトルの「HOLD ME」はこの曲のワンフレーズから取られたのではないか、と思います。

こんなに愛しても



歌詞を聴いて、「はー」という気分になりました。内容は、彼女が彼の部屋に来ているのだけれど、真夜中になっても彼は帰ってきません。すでに彼の気持ちは離れていて新しい恋人のもとへ行っているようです。それをわかっていながら彼のことを思い切ることができない彼女の独白…。聴いているとつらくなりますね。

さっさと関係を清算して、次のステップに進んだ方がいいよ、と言ってあげたくなりますが、人間はそういうことがなかなかできないから人間なのでしょう。弱く迷い、愚かで滑稽、それが人間の姿なのだ、としみじみ思います。ここで切ない心をかかえてつぶやいている彼女だけが弱いわけではなく、正面きって彼女に向かうことが出来ない彼もまた弱い人間なのです。

そういう弱い人間同士が傷つけたり傷つけられたりしながら生きている、それがこの世界です。ZARDの楽曲のうち、『負けないで』でブレイクする以前のものは、特にこういうもどかしい切ない世界を歌ったものが多く、友人はこれらの楽曲を聴いて「この人はよっぽどつらい恋愛をしてきたのかと思った」と言いました。

もちろん、彼女自身の体験かどうかはわかりません。体験していなくても描けるのがプロです。小説だろうと歌だろうと、体験の有無にかかわらず、むしろ体験を超えた普遍的な何ものかを掴み取って人々の前に提示できる、それが優れたクリエイターだろうと思います。その点で彼女は群を抜く才能を持っていたことは間違いありません。


□◆□…優嵐歳時記(2592)…□◆□

  大南風(おおみなみ)過ぎゆく森は音たてて   優嵐

梅雨明けを思わせるような一日でした。朝から快晴でぐんぐん気温があがり、日中の気温は35℃になりました。空には入道雲が盛り上がっています。梅雨入りが早かったため、すでに梅雨に入って一ヶ月です。このまま梅雨明けになる可能性もあるとしたら、長い真夏になりそうです。

IMG_1222IMG_1224随願寺の境内の観音堂と地蔵堂の間にある木が花をつけていました。TAK.ECHOさん、この木はなんでしょう? 葉も撮影しました。→
シナノキ科ボダイジュでした。ありがとうございます。

ホームセンターでファルカタ集成材という軽い合板を買いました。6mm厚さで、250×600mmのものが300円ほどです。三等分すればB5程度の大きさの板が三枚とれます。これをシナベニヤやMDFボードと同様に使えるかもしれない、と思っています。何枚かクレパスで絵を描き、クレパスには紙より水性ペンキで地塗りした板の方があっていると実感し、もっと小さいサイズでも試してみようと考えたわけです。

<真夏>
頂で周囲の入道雲を見ながら
ある音を探している自分に気がついた
蝉の声

日本の真夏に欠かせないもの
視覚には入道雲
聴覚には蝉の声

このふたつがそろって登場する時
そこに間違いなく
日本の夏がある

□◆□…優嵐歳時記(2591)…□◆□ 

  深海の色を湛えて額の花   優嵐

夏至を境に急に暑くなった気がします。金曜日は快晴で真昼の外気温は34℃を示していました。六月でこの暑さとは。このまま猛暑に突入ということはないとは思いますが、昨年のことを考えると「常識」が通用しないような気温変化が起こってもおかしくありません。

森の散歩はそれでも快適です。梅林のかたわらでガクアジサイが咲いています。「額の花」とは、ガクアジサイを意味します。つい先日まで卯の花が咲いていたその隣にガクアジサイの藍色のグラデーションが並んでいます。この色の涼しそうなこと。

境内の花壇にはいろいろな花が植えられています。今こちらではアジサイが咲いています。おなじみのオーソドックスなアジサイの他に装飾花の花びらがぎざぎざのもの、真っ白のもの、ガクアジサイの変化種と見られるものなどいろいろなものがあります。今日は暑くてアジサイもぐったりしているように見えました。

IMG_1205<血液循環>
南北の窓を開け放つと
陽が昇るにしたがって
海からの風が強くなる

内陸部が強い日差しで熱せられ
上昇気流が起こる
それにともなって
海から陸に空気が吸い込まれていく

上昇気流は
高く発達する入道雲を育てる
風は地球の血液循環



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