優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(1319)…□◆□ 

  頂でクリスマスイブの虹に会う  優嵐

クリスマスイブですが、変らず森へ行きました。冬型が
強まっているのか風があり、森がざわめいていました。
鳥の声、枝が鳴る音、落葉を踏んで歩く感触などが
好きです。

頂に出ると、すぐ北をしぐれ雲が通過しており、そこに
虹が出ていました。最近よく虹を見ます。つい三週間ほど
前にもここで虹を見ました。虹は吉兆とされています
から、いくら見てもいいものです。

広場のアベマキ、すっかり葉を落としているのに、一枝
だけまだ落葉せず枯れた葉が残っています。なぜだろう、
としばらく考えているうちに、あの枝は折れるか何かで
生命を失っているのだ、と気づきました。

葉が死ぬから落葉するのではなく、生きているから落葉
するのです。古くなったものを手放し、木が新たな生命
の次の段階に入る、それが落葉ということなのです。

071224

□◆□…優嵐歳時記(1318)…□◆□

  クリスマスカードネットで届きけり  優嵐

昨日は午後からかなり本格的な雨になりました。友人から
インターネット経由でクリスマスカードが届きました。
年賀状もこうしたインターネット経由のものに変わって
いくのかもしれません。

元日に一斉に送受信することは今のところ無理ですが、
Web上に私書箱のようなものを置いて、友人・知人から
あらかじめ年賀状のようにメッセージを受けとり、お正月
に開く、といった形式も考えられますね。近況を映した
動画などを元日に楽しむということもできるようになる
かもしれません。

インターネットが一般に使われるようになったのは
Windows95発売後でしょうから、ほぼ12年。その間の
発展ぶりは、その年に生まれた子どもと同じくらいの
急成長でした。まだまだ人々の生活を大きく変えて
いきそうです。

A Windham Hill Christmas: The Night Before Christmas

□◆□…優嵐歳時記(1317)…□◆□

  よみがえるものみな冬至の雨の下  優嵐

やはり雨になりました。静かな、この時期としては暖かな
雨の日です。春分、夏至、秋分、冬至は暦の中の重要な
日です。いつごろから人間が暦を使い始めたのか、古代
の巨石建築物のほとんどがこの四つの点に関係して
構築されているといいます。

冬至と夏至の漢字の使われ方を見ると、冬に至る、夏に
至ると解釈できます。春と秋が「分」という字を使って
いることとの対照が面白いなと思います。冬と夏は極に
至るところと考えられたのでしょう。

この日から太陽は復活し、また夏の極へと向かいます。
原始信仰のほとんどは太陽やその分身としての火を
神聖なものとしてあがめるものが多いようです。


071222

□◆□…優嵐歳時記(1316)…□◆□

  空透けてからりと冬の雑木山  優嵐

お昼ごろから雲が広がりました。雨は降っていませんが、
明日の冬至は雨になるかもしれません。インターネット
経由でクリスマスカードをいただいたりして、ああ、
歳末だなあと感じています。

今日は小中学校の終業式だったらしく、詰襟の少年が
お昼前に下校しているのを見かけました。最近は詰襟や
セーラー服といった昔ながらの制服はかなり減ってきた
ように思います。

071221

□◆□…優嵐歳時記(1315)…□◆□

  暖かき陽のほっこりと山眠る  優嵐

冬至を前に、森の落葉樹はほぼ葉を落としきりました。
この時期の山を季語では「眠る山」といいます。落葉樹は
活動をしばし休んで、冬眠の状態に入っています。

常緑樹の森はいまも鬱蒼としていますが、落葉樹が多い
場所では、日差しが地面まで差し込んでいます。増位山
の山頂近くからは、峰続きの広峰山も枝越しに見える
ようになりました。

071220

□◆□…優嵐歳時記(1314)…□◆□

  夜回りの遠ざかり行く鐘の音  優嵐

昨夜ナイターでテニスをしていると、消防車が火の用心
を呼びかけながら通り過ぎて行きました。火事やそれに
まつわる言葉は冬の季語になっています。江戸時代、
何度も大火を経験した江戸の町では、火消しの組織と
ともに、辻ごとに番屋がおかれ、火の用心に努めました。

炭火や練炭といった暖房器具は、もうほとんど日常生活
から姿を消しましたが、火事が恐ろしいのは昔も今も
変わりません。

少し前なら拍子木を打ち鳴らしながら「火の用心」と
呼びかけて回る姿もありました。大都会では消防車の
夜回りももはや無いとは思いますが、歳末の風物詩と
いえるでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(1313)…□◆□

  十二月陽のさす森の静けさに  優嵐

今年もあと二週間です。クリスマスが来週、大晦日が
再来週で、年末のあわただしさの中、お忙しい日々を
送っていらっしゃる方も多いでしょう。

私はのんびりと過ごしています。高校生のころ、隠遁者
になりたいものだと思っていました。吉田兼好や鴨長明
を学びながら、頭に浮かんだのはそういうことでした。
西行や芭蕉も隠遁者ですね。

いったいどうやったら隠遁者になれるものか、と思って
いましたが、考えてみれば今は隠遁者のような生活です。
何よりありがたいのは自由です。ナニナニヲシナクテハ
ナラナイということがほとんどありません。

071218

□◆□…優嵐歳時記(1312)…□◆□

  金色を沖に集めて冬の海  優嵐

増位山の山頂からは淡路島、家島、小豆島、播磨灘に
浮かぶいくつかの無人島が見えます。冬の今ごろは
雲の流れ方か日差しの具合か、こちらは雲が出ていても
沖合いがきらきら輝いていることがよくあります。

北の海では鉛色の空の下で荒い波が打ち寄せていること
でしょう。しかし、瀬戸内の冬はほぼこういう明るい
お天気が続きます。昨日は四国も見えました。

□◆□…優嵐歳時記(1311)…□◆□

  湯気立ての音のかすかに朝の部屋  優嵐

湯気立てとは加湿器のことです。冬は空気が乾燥します。
昔は、火鉢や暖炉の上に水を入れた鉄瓶などをおき、
湯気が立つようにしました。最近では、そうした暖房
器具が珍しくなったことから、電気の加湿器が出回る
ようになりました。

冬型の気圧配置で、兵庫県の北部は雨か雪模様のよう
です。兵庫県南部の瀬戸内海に面した姫路では気温は
下がりますが、からりとした晴天になります。今朝は
加湿器を出しました。細かな湯気が窓のそばであがって
います。

□◆□…優嵐歳時記(1310)…□◆□

  ファンタジー読みつつ賀状準備かな  優嵐

年賀状の受付が始まりました。それを聞いてようやく
年賀状を書き始めました。といっても表書きやデザイン
のほとんどはパソコンまかせです。プリンターをセット
したらあとはおまかせで出来上がるのを待ちます。

その間にアーシュラ・K・ル=グウィンの『ギフト』を
読んでいました。ある種の超能力にまつわる物語です。
ファンタジーというのは、ものごとの本質を示すのに
普通の小説よりも力を発揮する形式のように思います。
さすがに『ゲド戦記』の作者です。


ギフト (西のはての年代記 (1))
ギフト (西のはての年代記 (1))

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