優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

□◆□…優嵐歳時記(898)…□◆□

  ポストまで十六夜の月と歩きけり  優嵐

日中は晴れたり曇ったりまたにわか雨があったりと
めまぐるしくお天気が変わりましたが、夜になると雲が
きれ、満月を楽しむことができました。

少し雲があって時おり月の前をすっと横切っていきます。
くまなく晴れて月がこうこうと輝くのもいいですが、
こうして雲の陰影を眺めるのもまたいいものです。

□◆□…優嵐歳時記(897)…□◆□

  走り去るとき木犀の香りけり  優嵐

きんもくせいというのは、花の色や形よりも圧倒的に香り
の印象が強い花です。庭木として植えられているのが
多いことから、住宅地を歩いているとどこからともなく
きんもくせいの香りが漂ってきます。

自転車で路地を走っていても、ふと香ります。この三連休
は地域の秋祭りですが、辻に下げられた提灯や立てられて
いる神社の幟を目にして、この香りに出会うと、まぎれも
なく、この季節、この時期なのだ、と感じます。

□◆□…優嵐歳時記(896)…□◆□

  雲の波つぎつぎ寄せて小望月  優嵐

明日は十五夜です。今年は閏七月がありましたので、明日
が旧暦の八月十五日です。このところ、ぐずついたお天気
が続いていましたが、今日は午後から少し晴間も見え、
さきほど外に出てみたら雲は多いながらも輝く月がその
合間から時々顔をのぞかせていました。

八月十四日の宵を「待宵」といいます。本来は人を待つ宵
という意味ですが、それが江戸時代ごろから名月の前夜の
月を賞することを指すようになりました。もうほぼ満月に
近い月は鑑賞にも十分堪えますし、名月への期待を高める
効果もあったのでしょう。

と、書いて、ふと旧暦の暦をみて驚きました。今夜が暦の
うえでは十五夜なんですね。旧暦の八月十五日。しかし、
月齢を見ると、土曜日、10月7日が満月になっています。
この辺り、どう考えればいいものか…。俳句は暦とずれて
不正確になりますが、明日の満月を楽しむことにします。

□◆□…優嵐歳時記(895)…□◆□

  変わりゆくことこそ歴史灯火の秋  優嵐

電気スタンドを買いました。電気スタンドなんて、そう
たいして進歩のないもの、と思っていましたが、なかなか
どうして、随分使いやすくなっています。

日本中世の歴史を描いたシリーズを今読んでいます。
人間の営みは実は大変うつろいやすいものなのだ、と
実感しています。磐石に思える権力基盤さえ、数十年
のスパンで見ると、流れる川のように姿を変えていき
ます。

この世でただひとつ変わらないものは「すべては移り
変わる」ということか、と。

□◆□…優嵐歳時記(894)…□◆□

  上弦の月へ静かにスマッシュを  優嵐

今日は午後から雨になりました。「月」は単独では秋の
季語です。名月があることから秋の季語になっているの
でしょう。月を愛でるにももっとも良い季節です。

今週末の土曜日が満月です。それに向かって満ちていく
月、月に向かって右半分が輝いているものを上弦の月、
あるいは少し古風には「上り月」といいます。

昨夜はテニスをしてきました。身体を動かしてももう
夏のように汗だくになるということはありません。
澄んだ夜空には少し膨らんだ月が出ていました。

□◆□…優嵐歳時記(893)…□◆□

  始まっているらしのじぎく国体が  優嵐

のじぎく兵庫国体が9月30日から始まっています。役所
勤めを続けていたなら、きっと何かでかりだされていた
ことだろう、と思います。そういうものと縁の切れた今
では、ネットのニュースで始まったことを知るだけです。

国体開催が決まると道路が整備されるそうです。先日訪
れた福岡市内には「国体道路」というものがあり、驚き
ました。のじぎく国体のマスコットは「はばタン」と
いい、不死鳥をモチーフにした黄色い鳥です。

国体キャンペーンが始まった数年前に初めて見たときは
顔が不気味でなじめませんでした。ようやく慣れてきた
のですが、間もなく国体は終り、はばタンも引退です。

と、思いきや、はばタンひどく人気があるそうで、国体
終了後も兵庫県のマスコットとして残る可能性がある、
とか。ま、もう慣れましたからどちらでもいいですが。

□◆□…優嵐歳時記(892)…□◆□

  十月は雨の午後にて始まれり  優嵐

夕方になっても細かな雨が降り続いています。空気が
ひんやりとして、そろそろ半袖の季節も終りです。
衣替えになりますので、明日からは制服のところでは
夏服から冬服に替わりますね。

衣替えが終わるとまたしばらく気温の高い日が続いたり
して、上着が暑く感じられたものです。それでも暦から
いえば、十月は晩秋に入ってきます。食欲の秋が本格化
する時期でもあります。

□◆□…優嵐歳時記(891)…□◆□

  秋耕の土の匂いの遠くより  優嵐

早稲の稲刈りが済んだ田んぼに耕運機が入って耕して
いました。アパートの五階にいても、その土の香りが
感じられました。収穫の終わったあとの田畑を起こす
ことを「秋耕」といいます。

鋤き起こしておけば、冬の間に風化して土壌が豊かに
なります。まだこれから稲刈りという田もあり、すで
に冬の準備に入った田もあり、田の表情もいろいろ
です。

□◆□…優嵐歳時記(890)…□◆□

  秋の水近く座りて下りけり  優嵐

柳川での小船の川下り、いいお天気で、船頭さんの駄
洒落まじりの説明を聞きながらのんびりとしたひととき
を過ごしました。私はカヤックでの川下りも何度か
楽しんだ経験があります。

こうした小船での川下りは水面がすぐそこにあり、そこ
から見上げる周囲の風景が新鮮です。道の上の視線とは
また違う角度から景色を眺めることになるからです。
台風13号の暴風雨が激しかったようで、川べりの柳が
かしいでいました。

□◆□…優嵐歳時記(889)…□◆□

  屋台にて枝豆食めば夕暮れる  優嵐

福岡の中洲で名物の屋台にも行きました。川を見ながら
ビールを飲み、おでんを食べ、仕上げにラーメンをいた
だきます。人気の屋台の前には長蛇の列ができており、
びっくりしました。

市内全体で300軒ほどの屋台があるといい、何がきっかけ
でこれだけたくさんの屋台が出るようになったのかは
わかりませんが、ずらりと並んだ屋台のさまは壮観です。

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