□◆□…優嵐歳時記(1771)…□◆□ 

  少年の素振りは左春休み  優嵐

昨日、『自己評価メソッド』という本を読んでいました。自己評価が安定して高い人は幸福を感じる割合も高いと説き、そのためにどうすればよいかというヒントをあげています。前半は比較的日常的な人間関係などについて語られ、本が進むにつれしだいに哲学的、宗教的な雰囲気を漂わせる内容になっていきます。大変実践的で面白い本でした。

その終り近くに「没頭すること、自分の心を見つめること、謙虚になること」という章がありました。これが自己評価とどんな関係があるのか、と思われるかもしれませんが、読むと、実は基本を支えるものだなあと納得しました。そして、そのうちの「没頭すること」の実践方法として、<一度にひとつのことしかしない>という単純な方法が書いてありました。実はとても奥が深いのですが。

宗教的な修行でも、心理学でも哲学でも、日常の行為を大事にし、意識を集中してそれらに向かい合うように、と勧めています。その行動の目的や結果を考えずに、目の前の行為に集中すれば<フロー>が得られる可能性が高いのです。

忙しい現代人である私たちは、ほとんど常に何かをしながら同時進行で別の何かをしています。ラジオを聴きながら運転する、テレビを見ながら食事をする、音楽プレーヤーを持ち歩いて聴く、電車に乗りながらゲームをする…、数えたらきりがありません。しかし、これではどちらの行為にも集中できません。何かにたどりつく結果や目的にとらわれて<今この瞬間>を取り逃がしています。

実は、この本を読みながら私はYouTubeでZARDの音楽をランダム再生しながらヘッドフォンで聴いていました。ところが、ここを読んでいるときに自動再生が止まってしまいました。自動再生のチェックを外したっけ?といぶかしく思って確認しましたが、チェックは入ったままです。

「あれ?」としばし考えて、「あ、シンクロニシティだ!」と気がつきました。「まずこの瞬間から一度にひとつのことだけをするように」とYouTubeの進行を止めて、<導き>が告げているわけです。本を読むか、音楽を聴くかどちらかひとつにしなさい、と。本当に音楽を味わいたければ、音楽だけに向かい合い、本の内容を真に自分のものにしたければ、本とだけ向き合うように、ということです。

普段から意識して「ただ、何かをする」練習をするように、とこの本は勧めています。ただ歩く。ただ雲を眺める。ただ食器を洗う。ただ雑草をむしる。ただ小鳥の声を聞く。ただ洗濯物をたたむ。ただバスを待つ。ただ呼吸をする。それによって<行為に対する集中力>が高まれば、私たちは驚くほど幸せになれる、というのです。

090327