□◆□…優嵐歳時記(1940)…□◆□

  猪の擦りつけたる泥の跡   優嵐

増位山には猪が棲息しています。時々姿を見ることもありますが、むこうが警戒して人の前にはめったに姿を現しません。しかし、森の木々に彼らの痕跡を見ることがあります。牙の跡を見たこともありますが、最近では泥浴びの後に身体をこすりつけたと思われる跡をよく見ます。

先日もアベマキの根元近くが泥で白くなっているのを見ました。泥浴びは多分身体についたダニなどをおとすためにおこなうものなのでしょう。猪の走る様子はかなり機敏です。決して猪突猛進という感じではなく、素早いストップ&ゴーができそうです。秋が深まってくると、やがて猪狩のシーズンに入ります。

<空間>
寝転んで空を見るのが好き
引力でわたしは地面に張り付きながら
果てしない宇宙空間に向かっている

ずっと昔
皆既月食を見たある夜のこと
月は丸い板ではなく球形になって
わたしの前に現れた
月とわたしの間にある空間
その先に広がる空間

あまりにも広大なものを見て
思わず何かにつかまりたくなった


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