□◆□…優嵐歳時記(1956)…□◆□ 
   
  風少し身に入む峠を越えにけり   優嵐

●法然上人・誕生寺を訪ねる(1)
岡山県久米南町にある法然上人の誕生寺へ行ってきました。朝7時前に家をオートバイで出発し、県道5号でたつの市、上郡町を抜け、国道2号へ入って間もなく県境の船坂峠を越えて岡山県備前市へ。このところ暑かったため、近所に出かけるときは半袖のままだったのですが、今日は夏用のジャケットを着ていました。

しかし、朝の空気は冷たく、峠を越える頃にはすっかり身体が冷えていました。ウインドブレーカーを持ってこなかったことを後悔しました。それでも日が高くなってくれば気温が上がるはずと予想して、走り続けました。金剛川に沿って県道96号を山陽本線とからみながら西へ。

吉井川にぶつかって、国道374号に乗り換えます。幅のある川筋に沿って国道は北に向かいます。国道484号に入ったあたりでガソリンのメインタンクが空になり、予備タンクに切り替えました。ガソリンスタンドを探す必要があります。ところが、これがあまりありません。あっても日曜で休みだったり、近道のつもりで道を間違ったり。

予備タンクで走れるのは30kmほどなので、しだいにあせってきました。とうとう道端で農作業中の方に「ガソリンスタンドはありませんか?」とたずねて事なきを得ました。このオートバイに乗り始めた頃、夜中の道でガス欠を起こし、ひどい目にあったことがあるのです。あの頃はまだJAFはオートバイを扱っていませんでしたし。まあ、今となってはあれもなつかしい思い出といいますか…。

旅先ではトラブルほど後になれば鮮明に覚えているのものです。特に見ず知らずの方に親切に助けていただいたことは忘れられない思い出です。渡る世間に鬼はいませんよ。日本だけでなく外国でも。

「身に入む(みにしむ)」とは、痛いほど骨身に透って感じられる、というのが本来の意味です。それが転じてしみじみと感じられる「あわれ」となりました。心情的に詠まれる場合と今日の私のように感覚的な「冷気」として詠む場合があります。

<美しい国>
棚田の黄金色の中
朝日を浴びて走る
コスモスがゆれ
鶏頭がゆれ
カンナがゆれる
峠を越えれば空に鰯雲
うす靄のかかるなだらかな山なみ
ようこそ美しい国へ

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