□◆□…優嵐歳時記(1957)…□◆□
銀杏(ぎんなん)を見上げつつ入る誕生寺 優嵐
●法然上人・誕生寺を訪ねる(2)
国道53号沿いのガソリンスタンドを出た後、そのまま北へ向かい誕生寺へ。京都や奈良の大規模寺院と違ってひっそりと田園地帯の中に立つ寺には拝観料すらなく、境内は近所の人の散策場所になっています。法然が勢至丸として誕生した旧邸を寺院に改めたもので、開山は法然上人の直弟子であった法力房蓮生(熊谷次郎直実)です。
蓮生は法然の木像を自ら背負って都からここに辿りついたとき、法然の生誕地を目にして感激のあまり号泣し、そこで念仏を唱え続けました。その場所が誕生寺を望む場所に「念仏橋」として残されています。直情径行型の荒武者であった蓮生の姿が浮んでくるようです。
境内へ入ったところに天然記念物(樹齢約870年)法然上人ゆかりの「逆木のいちょう」があります。いちょうは雌でちょうど小さなギンナンをたくさんつけていました。それにしても870年…、人間なら87年でも長寿です。この木の前を大勢の人が通り過ぎ、生れては死に、生れては死にしていった、そして私もそのひとりです。
境内の一画に宝物館があり、そこに八百屋お七の振袖がありました。当山十五代の通誉上人が江戸深川の回向院に本尊御開帳のために訪れたとき、お七の遺族から位牌とともに托され供養を依頼されたものだといいます。上人は「火」を「花」に、「煙」を「艶」に転じて「花月妙艶信女」との戒名を授けました。
<恋物語>
悲しい一途な恋物語は
人の心をつかんではなさない
悲劇の中へ落ちてゆく男と女
それが人をひきつけてやまないのは
人が理屈だけで生きている
わけじゃないから
抑えがたい何かに
引きずられるように
火の見櫓を登るお七は
誰の心の中にもいる
銀杏(ぎんなん)を見上げつつ入る誕生寺 優嵐
●法然上人・誕生寺を訪ねる(2)
国道53号沿いのガソリンスタンドを出た後、そのまま北へ向かい誕生寺へ。京都や奈良の大規模寺院と違ってひっそりと田園地帯の中に立つ寺には拝観料すらなく、境内は近所の人の散策場所になっています。法然が勢至丸として誕生した旧邸を寺院に改めたもので、開山は法然上人の直弟子であった法力房蓮生(熊谷次郎直実)です。
蓮生は法然の木像を自ら背負って都からここに辿りついたとき、法然の生誕地を目にして感激のあまり号泣し、そこで念仏を唱え続けました。その場所が誕生寺を望む場所に「念仏橋」として残されています。直情径行型の荒武者であった蓮生の姿が浮んでくるようです。
境内へ入ったところに天然記念物(樹齢約870年)法然上人ゆかりの「逆木のいちょう」があります。いちょうは雌でちょうど小さなギンナンをたくさんつけていました。それにしても870年…、人間なら87年でも長寿です。この木の前を大勢の人が通り過ぎ、生れては死に、生れては死にしていった、そして私もそのひとりです。
境内の一画に宝物館があり、そこに八百屋お七の振袖がありました。当山十五代の通誉上人が江戸深川の回向院に本尊御開帳のために訪れたとき、お七の遺族から位牌とともに托され供養を依頼されたものだといいます。上人は「火」を「花」に、「煙」を「艶」に転じて「花月妙艶信女」との戒名を授けました。
<恋物語>
悲しい一途な恋物語は
人の心をつかんではなさない
悲劇の中へ落ちてゆく男と女
それが人をひきつけてやまないのは
人が理屈だけで生きている
わけじゃないから
抑えがたい何かに
引きずられるように
火の見櫓を登るお七は
誰の心の中にもいる
コメント
コメント一覧 (2)
> 京都や奈良の大規模寺院と違ってひっそりと田園地帯の中に立つ
> 寺には拝観料すらなく、境内は近所の人の散策場所になっています。
オートバイで素敵な散策をされてますね!法然さまが誕生されたお寺、
僕も訪ねてみたいです♪ひそやかに訪ねるのは自動車よりもオートバイ
が似合います。より情緒的というか。
> 抑えがたい何かに
> 引きずられるように
> 火の見櫓を登るお七は
> 誰の心の中にもいる
今日の自由詩、ググっと胸にきました!僕は、なぜか近松の曾根崎
心中に心がひかれるのですが、確かに理屈ではない「何か」ですね。
古来からある日本人の「情念」、興味深いです。
>乙女の前髪を修正したところです。はあ、悩ましい
秋の夜は乙女の髪に更けにけり 優嵐
というところですね。10月3日だから、タイムリミットがありますよね〜。ファイト!
法然ゆかりの霊場を訪ねようと思っているのです。ほとんどが京都の寺院なので、それは冬のオフシーズンに回して、それ以外のいくつかの場所は秋の間にオートバイで、と考えています。以前、カブで西国巡礼をしたことがあります。あのときも楽しかった〜。オートバイは小回りがきくし、駐車場を気にする必要がないのでいいです。走りの楽しさも断然ですしね。
曽根崎心中ですか。文楽で見てみたいな。初めて見た文楽が「女殺油地獄」でして、人形の表情の細かさにとても感動しました。心中なんてバカといえばバカですが、バカだからドラマになっている、ともいえますよね。
忠臣蔵なども今の考え方からいくと信じられない愚行ですが、人気は衰えない。損得や理屈を超越したものに人はひかれる、特にひたむきさ、一途さにひかれるように思います。