□◆□…優嵐歳時記(1959)…□◆□

  オリーブの石鹸香る秋の宵   優嵐

シリアで手作りされたというオリーブの石鹸をいただきました。オリーブオイルの香りがして、新鮮です。宵とは、日が暮れてまだ夜というには少し早い時間帯を言います。季語には「秋の暮」も「秋の夜」もありますが、その間にはさまれた微妙な感覚がポイントになります。

ウィークタイズという言葉があります。「弱い絆」という意味ですが、社会学では、これをたくさん持っている人が転職や就職に有利、という説があります。強い絆は、親子、兄弟姉妹、夫婦、親友といったいわゆる強いつながりです。弱い絆とは、ちょっとした顔見知り、名前くらいは知っている、挨拶くらいはする、という関係と考えられます。

チャンスはこういうところからやってきやすい、ということなのでしょう。なぜか私なりに考えてみると、強い絆というのは、閉じた関係だからじゃないか、と思います。強い絆はたしかに心強いつながりではあるけれど、そこから先への発展性がありません。他の世界への広がりに欠けるのです。

転職や就職とは外れるかもしれませんが、アイデアとか何か新しいもの、大げさに言うと人生の転機をもたらすようなものもこういうウィークタイズからやってくるような気がします。ここ何年かの自分の生活の変化や心境の変化をずっと振り返ってみると、強い絆はあまり関係していません。私に何かをもたらしてくれたものはひょんなことから目の前に展開したものばかりなのです。

このことに今まで気がつかなかったのですが、これはちょっとした発見かもしれない、と自分自身でにやにやしています。よく異業種交流などという話をききますが、そういうものともこれは違います。目的があっては逆によくないように思います。ここで新しい何かをもたらしてくれるのは、全く予想もしていなかったような人や存在なのです。ここは本当に不思議だと思うのですが、いい意味での「棚からぼた餅」です。


<手放せば>
何をそんなにあせっているんだ
まかせてみろよ
必要なものは必要なときに
君のもとにもたらされる

もしもたらされないとしたら
それは君には必要ないもの
努力しなくていいというのじゃない
でも努力と執着を取り違えちゃいけない

執着している限り
必死でしがみついている限り
自然なものごとの伸展は止まる

手放せば
春が夏に 夜が朝になるように
すべてはあるべきところに
おさまっていく

何がいいとか悪いとか
君の視点からだけでは絶対にわからない
まかせてごらんよ
手放してごらん
そうすれば流れ込んでくるから

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