□◆□…優嵐歳時記(1983)…□◆□

  柿の秋ぎっしり空へ実りけり   優嵐

柿の葉は紅葉し、中には落葉も始まっています。その中で柿の色が鮮やかになってきました。熟れて目ざとい野鳥につつかれているものもあります。今年は柿の生り年なのか、多くの柿の木が枝も撓むほどたくさんの実をつけています。

柿はそのままKAKIとして外国に通用するそうです。あの柿色は晩秋の日本を代表する色だなあと思います。なつかしく郷愁を誘うようなそんな色です。ふるさとの色という気がします。

子どものころ家の畑のそばに一本柿の木があり、よくそこへ登っていました。柿は折れやすいので体重が重くなってくると危ないらしいですが、子どもの身には視線が高くなり新鮮な思いができて好きな場所でした。


<ささやかな楽しみ>
オートバイに乗って
ワゴン車の後ろにつけた
リアウインドウ越しに
男の子と女の子が
手を振ってくる

信号で止まったとき
ハンドルから右手を離して
小さく手を振り返した
二人は大きく笑いころげた
フルフェイスのヘルメットの中で
わたしも笑う

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