□◆□…優嵐歳時記(2015)…□◆□

  銀杏落葉金色をいま惜しげなく   優嵐

近所の銀杏がいま黄葉の盛りです。黄葉しながら散っていきます。その鮮やかな黄色は冬の空気に最後の華やかな彩を与えています。銀杏が散ってしまうと真冬になります。それを見上げていると、思いがけず車から声をかけられました。学生時代の友人です。

仕事で出張した帰りということでした。車を脇へ寄せて助手席に乗り込みしばらく近況やら何やらひとしきり話し込みました。自分もつい数年前まで同じ仕事をしていたのですが、なんだかもう遠い夢のようです。自分の生活も変わったし、気持ちも変わってしまったなあと思わざるをえません。

人間は変わっていないようでいて、変わらずにはいられないものなのです。この一瞬にも自分が意識していないだけで着実に変わっています。変わっているということがすなわち生きているということなのでしょう。


<久しぶり>
「久しぶり」という言葉を
初めて使ったのは
いつだっただろう

中学までは友だちの
顔ぶれが増える一方で
ばらばらになることなどなかった

別々の高校に進み
違う制服を着て
初めて「久しぶり」という
言葉を使ったような気がする

あれから随分長い時間がたって
友だちに会うともう
「久しぶり」ばかりだ

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