□◆□…優嵐歳時記(2035)…□◆□

  星借りる如しクリスマスイルミネーション   優嵐

クリスマスはまだ十日ほど先ですが、クリスマスを迎えるころには、すでに街のクリスマス気分は飽和状態でしょう。横浜港はクリスマスの電飾で美しく飾られていました。どこの大都会もこの時期はそうした飾りつけで華やかです。

神戸のルミナリエに行ってきたという人の話を聞きました。阪神大震災の慰霊のために始まったこの催しですが、今やすっかり関西の年末の風物詩として定着している印象です。祇園祭が疫病退散を願って始まったように、あと何百年かたったら震災は行事の由来として語られるものになっている気がします。

イルミネーションで煌々と明るい大都会の空は星など見えません。本当の星空を見るには人の少ない場所へ出かけていかなければなりません。アフリカや中南米へ行ったとき、その夜空を見上げてあまりの星の数にぎょっとしたことを思い出します。これが本当の夜空なんだ、と思いました。


<にもかかわらず>
ひとつの出来事から
いろいろな詩を作ることができる
前向きにも
後ろ向きにも
詩を紡ぎだすことができる

言葉は魔術だ
一度解き放たれた言葉は
ひとつの網となって
わたしの心をとらえる

前向きな言葉は前向きに
シニカルな斜に構えた言葉はそのように
わたしの心をコントロールし始める

シニカルで皮肉な
世をすねたような言葉を
発することは実は簡単だ
そうして自分の心を後ろ向きにすることも

それがかっこよくて大人なことだと
思い込んでいるとしたら愚かしい

ユーモアとは
「にもかかわらず笑うこと」
本当の大人は
「にもかかわらず前向きでいられる人」

つらい、苦しい、悲しい、寂しい、腹立たしい
そんなことは当然だ
その苦さを味わうためにここへ来た
そのことを忘れているだけだ

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