□◆□…優嵐歳時記(2103)…□◆□

  梅林の人影消えて風の音   優嵐

アートセラピーに行ってきました。ワークに入る前にお手玉を自分で投げ上げたり、ペアで投げあったりします。グループ全員が向き合って正面の人とお手玉を投げ合っていたときのこと、「テンポが速すぎますよ」と言われました。相手の人とはうまく投げ合えるのですが、他の人と比べてかなり速いため、全体のリズムを乱してしまうのです。

今日のワークは最初に「フォルメン」をおこないました。四つ切ほどの用紙にパステルで右回りの大きな円を描きます。完全な円にはならず誰でもどこかが歪んでいます。そこで、それを修正するようにその上をなぞってぐるぐると円を描き続けていきます。これは「円を描く」のではなく、「円の形を動く」というのが考え方の基礎になります。

ぐるぐると円の動きを繰り返しているとパステルが用紙の上を滑る音、腕に伝わってくる感覚それらもいっしょになって、何か引き込まれるような、瞑想をやっているようなそんな感じになりました。その後、パステルの色を変えて左回りに円を描き同様にします。円を動くというのはなかなか私にはいい感覚でした。

ただ、ここでも描くスピードが大変速いことを指摘されました。少しスピードを落とすように心がけましたが、実際はもっとぐんぐん速く描きたいくらいでした。私は何でも速くするのが好きです。歩くのも食べるのもテンポが速い。特に盛り上がっていく加速度感覚が好きです。恐らく人間には固有の心地よいリズムというのがあるのでしょう。しかし、それにとらわれてしまうのは望ましいことではありません。

無意識に物事をやっているとどうしても固有のリズムにとらわれてしまうのかもしれません。ワークで目指すのは、「意識的になること」です。ほとんどの人間は日常をほぼ無意識状態で生きており、この瞬間を取り逃がしているのだと思います。このあと、縦の線を上から下へという動作、下から上へという動作、横の線を左から右へ、右から左へ、とそれぞれ一定時間描きました。単純な動作ですが、じっくりそれを感じてみると、微妙な違いがわかってきます。

二つ目のワークは「バイオグラフィー」でした。7年単位でこれまでの人生を色分けし、それぞれの時期を象徴する花を描いていくというものでした。こうした象徴や色を使うことによって、その時期を大きくつかむことができます。前回、幼少時代が暗い色になる、と書いたのですが、今日は少し違っていました。自分がどの位置に立ってどのような気持ちでその時代を振り返るか、によって色彩は変わってきます。

客観的事実はひとつですが、それをどう見るかによって事実の姿は変容します。何があったか、よりも実はそれをどう見るかの方が個人にとっては重要ではないかと思いました。


<変容>
しまったと思う間もなく
熱いスープを手首に浴びた
じんじんして半日
大きな水泡ができていた

ナイフ、包丁、熱湯、火
台所は家中でもっとも凶器が
蓄えられているところ

凶器を使って私たちは
素材を食べものへと変容させる
命を奪えるものを用いて
命を育てるものを整える
台所の錬金術


今日の名言:君はばかげたこともするだろう。そのばかげたことも、熱意を持ってするのだ。


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