□◆□…優嵐歳時記(2124)…□◆□

  春場所や勝者の肌の紅潮す   優嵐

大相撲三月場所の初日、大阪府立体育会館へ観戦に行ってきました。荒れる春場所と言われていますが、今日は珍しく上位陣は安泰でした。館内に入ると鬢付け油の香りが漂っていて、これが生で観戦するときの雰囲気を高めてくれます。

力士の身体を間近で見るのも楽しみです。贅肉の多いだぶだぶした体つきの力士もいますが、ほとんどは筋肉質の肉感に溢れた体格をしており、単に大きいだけでなく分厚いという印象を受けます。人間の身体というのは鍛えるとこんな風になるのだなと感心します。

デパートの地下でお弁当を買い、近くのコンビニでお茶とお菓子を買って三段目の途中辺りから館内に入るのが通例になっています。幕下以下ではまだ観客の数もまばらで、塩もなく、髷も廻しも簡素なもので、淡々と取り組みが進んでいきます。

同じ力士、土俵上では廻しをつけただけの裸の男たちですが、三役以上の上位の関取と幕下以下の力士では全く存在感が違います。どの世界にあってもそうなのでしょうけれど、あれは何なのかと思いますね。


<きらめく>
花道の奥から何かが
やってくるのが感じられた
それは彼の姿が見えてくる
はるか前からのこと

その空気はあたりを圧倒し
王者の登場を伝えていた
絶頂期にあるものだけが持つ
威風堂々たる何かを


塩を取るために背を向けた
彼の背中が輝いていた
四股を踏むためにしなやかに
伸ばされた足の高さ

これから間違いなく頂上へ
駆け上っていくものだけが持つ
特別な光に包まれている
どれほど強くなるか
肌のつやを見ただけでわかった


そして時は過ぎ
あの彼もこの彼も
今は土俵を去った
すべては一陣のきらめく風


今日の名言:君は恋愛を語ることによって恋愛するようになる。


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