□◆□…優嵐歳時記(2135)…□◆□ 

  「田園」を口笛で吹き楽聖忌    優嵐

俳句では忌日を季語にします。なぜなのかといえば、やはり亡くなった方に対する尊敬と敬慕の念からだろうと思います。「俳句はすべて挨拶である」という言葉があります。ですから、忌日を詠むときは、その方の人柄、仕事内容、人生などについて思いを馳せられるような句がふさわしいでしょう。

3月26日はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が亡くなった日です。楽聖忌と呼ばれていますが、私が今手元に持っている三種類の歳時記のいずれにも記載がありません。しかし、かなりよく知られており、それで句を詠んでいいと思います。

アルコール依存症の父のもとで育ち、音楽家としては致命的な難聴に苦しみ、晩年には完全に聴力を失いながらも数々の傑作を残した彼は、楽聖と呼ばれるにふさわしいでしょう。彼自身は自分の耳で「第九」を聴くことは一度もなかったのです。葬儀は2万人もの人々が駆けつける異例のものだったといいます。亡くなってすでに200年近くになろうとしていますが、今も世界中で演奏され新しいファンを獲得し続けています。

ところで、このベートーヴェンのピアノソナタ第八番「悲愴」の第三楽章が"Beethoven Virus"としてロックのエレクトリックバイオリンで演奏されているのを知りました。韓国のドラマ"Beethoven Virus"のテーマにもなったようです。旋律の美しい楽曲というのはさまざまな編曲によってさらに魅力が増すものですね。


ロック・エレクトリックバイオリン版



クラシック・ピアノ版



<花の雨>
冷たい雨が
開き始めた花を濡らす
桜色が震えているように見えるのも
花時のひとつの趣

花の命は短い
だからこそ人は桜を愛でる

咲き急ぎ
美しさの盛りに散っていく花に
人は切ない思いを抱く

花冷えは
花の命を永らえさせる
だからそれも悪くない…


今日の名言:あなたは、他人と違っているのと同じくらい自分自身とも違っている時がある。