□◆□…優嵐歳時記(2136)…□◆□ 

  咲き初めし門の桜に雨つづく   優嵐

彼岸明けのころから春の長雨となり、気温も桜の時期とは思えないほど下がって花冷えの日が続きました。ようやく青空が戻ってきましたが、まだしばらく気温の低い日が続きそうです。春は半ばを過ぎ、三月も間もなく終りですが遅霜の心配さえありそうな気温ですね。

3月6日の坂井泉水さんの誕生の「日」に『Teenage Dream』を取り上げ、クロスジェンダー・パフォーマンスについて書きました。ZARDの楽曲のほとんどは彼女のために書き下ろされたものではなく、他のアーティストがすでに歌っていたり、ストックされていたデモテープの中から選ばれたりしたものだったといいます。驚くべきは、それを完全にZARDオリジナルと思わせるほどの完成度で彼女が歌っていることです。

月命日の今日取り上げる『Boy』は、もともと作曲者の栗林誠一郎さんが自身のオリジナル『Girl』として歌っていた曲です。新たに坂井泉水さんが詞をつけ『Boy』として、ZARDの11番目のシングル『この愛に泳ぎ疲れても』(94.2.2)と両A面で発売されました。GirlをBoyに変えたのは欧米流儀に習ったのでしょうか?


Boy



この曲、やさしいバラードで、私は大好きです。女性の包容力を感じますね。詞のうち、まず最初の「夜更けの静けさを」というところが抜群だと私は感じます。触覚でも視覚でもなく、あえてこの場面で聴覚を前面に出しているところが凄いと。主人公が感じていたであろう、夜のしじまの深さが伝わってきます。

「都会の小さな彼はまるでsoldier…」以下の歌詞は、すでに離れてしまったかつての恋人に歌っているというよりも、<もっと大きな存在になってあなたを見守っています>という意味あいを漂わせています。

こうした<遠くから見守る>タイプの詞は、坂井泉水さんの詞の特徴のひとつと言え、代表曲である『負けないで』の「どんなに離れてても 心はそばにいるわ」や『My Friend』の「ずっと見つめてるから 走り続けて」などにもあらわれています。現実のBoyはすでにBoyの年頃を過ぎてしまっているかもしれません。でも、誰の中にもずっと住み続けている永遠の少年に向かって彼女は歌っている、そう思うのです。


今日の名言:君と世間が戦う時は、君は世間の味方をしろ。