□◆□…優嵐歳時記(112)…□◆□

    荒梅雨の中を駆け行く女あり  優嵐

昨日は台風崩れの低気圧の影響で、姫路では午後からかなり強い雨が
降りました。梅雨というと、しとしと降り続く霖雨を連想しますが、
ときには梅雨前線の活動が活発になり、豪雨となって被害をもたら
すことがあります。「荒梅雨」とはそうした梅雨の時期の激しい雨
を指しています。

ここで作者は"駆けて行く女"を詠んでいるわけですが、俳句は十七
文字で完結するため、この女がどのような女なのか、は読み手の
想像に委ねられてしまいます。年齢、服装、雰囲気、体型、それら
すべては読み手が好きなように想像すればいいのです。これが俳句
の面白さでもあります。

また「女」を「男」に変えてみただけで、全く違う風情がそこに生
まれてきます。「女」を「少女」にするだけでも。人間の豊かな
イメージの広がりを十七文字に結び付けて遊ぶ。十七文字だから
こそイメージの広がりが大きくなる。それが俳句の楽しさですね。