□◆□…優嵐歳時記(2158)…□◆□

  銀色に開き初めにし小楢の芽   優嵐

関東地方で雪が降ったとのこと。姫路は快晴でしたが、その割にあまり気温はあがりませんでした。ソメイヨシノはまだ咲き残っています。それでも植物の芽吹きは進んでいます。芽吹いてしばらくの間のコナラの若葉はやや緑がかったシルバーという不思議な色をしています。

ほとんどの芽は高いところで芽吹きますが、幼木の芽吹きを近くで見るとその芽の色合は植物というよりも、何か銀の装飾品のような雰囲気さえあります。やがて普通の緑色になってしまうのですが、ほんのわずかの期間のこの色、春を象徴する色です。

ヤマザクラは木によって花がまだ残っているものもあります。増位山梅林にある大樹のひとつに半分ほど花が残っており、その下に立つとレンガ色の若葉を透かして日差しが降り、そこをときおり花びらがひらひらと散るさまを楽しむことができます。

地面にはほとんど白色に近いヤマザクラの花びらが散り敷いています。花びらには微妙な色合の差があり、時々かなり濃い桜色のものも混じっています。この微妙な色合があの花の陰影のある美しさを形づくっているのだろうか、と思いながら歩きました。

梅はくしゃくしゃっとした若葉を広げ始めています。梅の種類によって、最初はレンガ色をしているものもあれば柔らかな緑色をしているものもあります。アラカシやシラカシ、クスノキといった常緑広葉樹も若葉をつけ、それと交代させるように古い葉を落としています。常緑樹の落葉は晩春から初夏です。


<春の頂>
薄紫色のつつじの花道を
抜ければ頂
目の前に広がるのは
幾百種類もの若葉の彩りに満ちた前山

その優しい緑を映して川は海に向かう
ひときわ鮮やかなのは一画の菜の花
播磨灘は浅葱色
沖の小島はやや朧
淡路はさらに霞んでいる

すいっと岩燕が横切る
はしゃぎまわる子どものように
蝶が戯れつつ飛んでいく


今日の名言:負けないのは、失うものが何もないからだ。


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