□◆□…優嵐歳時記(2159)…□◆□

  プラットホーム歩みゆるめて春風に  優嵐

気温はあまりあがっていませんが、それでも風には晩春を感じます。アートセラピーは新年度に入り、これから三ヶ月のテーマは「コミュニケーション」です。今日は初めてお会いする方が三人来られて、新鮮でした。

コミュニケーションがいかに大きな問題かについて、今朝駅に向かいながら、偶然考えるともなく考えていました。人間関係の問題は、コミュニケーションの問題といってもいいのではないかと思います。なぜ問題が起こるのかといえば、相手と自分が違う人間だからでしょう。

それぞれ内側で考えたり感じたりしていることは、似ているようで微妙に異なります。相手の内側に入り込んでそれを体験することはできないため、自分自身のフィルターを通して推し量るしかありません。そのフィルターが全員違うため、さまざまな問題が起きるのです。

自分の心の癖、考え方のパターンを知っておくのは大事なことだと思います。お互いの発信と受信が双方の癖で歪んでおり、それを認識していないと自分の「あたり前」に振り回されてしまいます。自分はこう感じるから相手もそうだろう、という思い込みが誤解の元です。

今日はマンダラを描くワークをしました。参加者8人で、2m四方ほどの正方形を囲みクレヨン、クレパスを使って、○□△という三つの図形だけを描いていきます。色や大きさは自由でした。

私ともう一人がサクラクレパス、他の六人はシュトックマンのクレヨンでした。クレパスは発色が鮮やかで強く、シュトックマンの淡い色彩とはかなり違っています。私は○で描き始め、それが心地よくて自分の領域を○で埋めていきました。ぐるぐると右回りの円形を描いていくのは一種の快感で、集中できました。

一時間以上そうやって全員描いたあと、壁にそれを貼ってワークでの気づきをシェアしあいました。同じように紙に向かっていると思っていてもそれぞれ感想が随分違っているのに驚きます。シュトックマンのクレヨンの方は、サクラクレパスの色の強さに一種の脅威を感じられたようでした。

クレパスで描いていた私は自分の描く部分にのみ集中していて、あまり周囲を見なかったように思います。これは自分自身がものごとに取り組むときの癖なのかもしれません。自分が問題を感じていなければほとんど周りを見ない傾向があります。前回の粘土のときはうまくいかなかったので周囲を見ましたが、今回はすいすい自分のペースに入っていました。

こうしようと決めて即座にそれに入っていけるときは、周りを見ないというのが自分のやり方なのだと気づきました。それがいいとか悪いとかそれは一概に言えません。うまくいくから良くてうまくいかないから悪いとはいえず、何かがうまくいかないときこそ気づきのチャンスである場合も多いからです。

何人かでこうして同じことに向かっているとき、自分のパターンを作るのが強い人と弱い人がいます。弱い人はまず自分のパターンを作ることを考え、強い人は逆にパターンを壊すことを考えていくことが大事です。パターンが作れないと居心地が悪いですし、パターンにはまってしまうと、発展がないからでしょう。

人によっていま何が課題かというのは異なっており、自分の今の状態を投影させて一歩離れて見て考えることができるというのが絵の強みです。


今日の名言:あなたも人間でありながら、その人間があなたを人間嫌いにする。


IMG_0384