□◆□…優嵐歳時記(129)…□◆□

    短夜や昔の歌が口をつく    優嵐

「短夜(みじかよ)」は「明易し」とほぼ同じ意味の季語です。句の
調子や語感で、用いる言葉を変えていきます。先日、目が覚めた
とたん、ずっと以前、子どものころに聞いたテレビの挿入歌が口を
ついて出てきました。そんなに大流行したわけでもなく、この歌の
存在さえ忘れていたのにワンフレーズ歌えてしまいました。

人間の記憶の仕組みがどうなっているのか詳しくは知りませんが、
恐らく一度経験したことは人間もコンピュータのように脳のどこかに
すべてしっかり格納しているのではないでしょうか。忘れたと思う
のは、それを再生するすべがわからないというだけなのでしょう。

この朝、私はこの歌が出てくる夢を見ていたのではないかと思います。
夢というのも随分不思議な働きをするものですが、なんだかよくわから
ないだけに面白いですね。あの朝からいまだにその歌が自分の頭の中
でずっと鳴っています。