□◆□…優嵐歳時記(2168)…□◆□

  水平線まっすぐ見えて夏近し   優嵐

春から夏へと移っていく頃を表す季語は数多くあります。「行く春」「春惜しむ」「惜春」「夏近し」「夏隣」などです。ここから派生した季語がまたいくつかあり、微妙な違いをどう詠むかも句を作る楽しさです。今日の句は去ろうとしている春よりは、やってくる夏に心を置いて詠んでいます。

ほぼ毎日増位山の頂上に立っています。毎日様子が変わり、同じ場所とはいえ全く飽きません。これまでは淡く霞んでいることが多かった水平線が、この日はくっきりと見え、海も青さを増し、ああ、もうすぐ夏だという思いがわきあがってきました。

大げさな言い方ですけれど、季節が変わっていくその兆しを感じ取るときほど幸福感にみたされる瞬間はありません。別にお金がもらえるとか、いいことがあるとかそういうのではなく、なにか純粋な喜びが押し寄せてくるとでも言えばいいでしょうか。

これは恋愛とかビジネスとか、誰かに何かをしてもらったとか、そういう人間同士のあれこれで得られる幸福感とは何か別の次元の喜びだと思えて仕方がありません。なんていえばいいか、自分がもっと大きな何かに包み込まれる瞬間、その喜び、そんな感じですね。


<別のもの>
頂から沖の小島を見ていた
あの小島まで歩いていくことはできない
小島は「別の土地」なのだろうか

もし播磨灘の海水を吸い上げてしまったら
小島は陸続きになる
どこからどこまでが島なのか
目に見える「別の土地」は消失する

これと同じことがすべてのことに言えないか
ずっとそこに存在すると思い込んでいる
何かを取り去ってみたら
分離された「別のもの」なんてない


今日の名言:もし君が人に愛されようと思うなら、まず君が人を愛さなければならない。


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