□◆□…優嵐歳時記(2225)…□◆□ 

  白百合のさらに輝く雨あがり   優嵐

夏は春以上に花の多い時期かもしれません。ご近所の庭にもさまざまな花が溢れ句を詠む材料がたっぷりあってうれしいことです。やはり、冬が一番自然の句材が少なくなります。そこでいろいろ探すのもまた別の意味で楽しいことではありますが、次々咲く花を見るのはいいものです。

ユリはユリ科の多年生球根草の総称です。『古事記』の神武天皇の条にすでに「山由里草」として登場しています。『万葉集』には十首詠まれており、大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)は「夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ」と詠い、片思いを姫百合の可憐さに託しています。

姫百合といえば、6月23日は沖縄忌でした。第二次世界大戦で日米最後の地上戦がおこなわれ、県民の四分の一が犠牲になったという沖縄戦が終結した日です。ひめゆり学徒隊として、沖縄陸軍病院の看護要員に動員された沖縄県女子師範学校と沖縄県立第一高等女学校の教師と生徒240人のうち、136人が犠牲になりました。


<祈り>
学生時代の同級生が療養中だときいた
家に帰ってコーヒーをいれながら
不意にお祈りをしようと思った

手をあわせて目を閉じて
神棚でも仏壇でもない
シンクの前で祈った

彼女が試練を耐え抜いていけますように
その力が与えられますように
支えが得られますように


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