□◆□…優嵐歳時記(2255)…□◆□

  その上に紺碧を載せ雲の峰   優嵐

「雲の峰」とは、夏空に白く輝く積乱雲をさす季語です。上昇気流がつくりだすその雄大なさまを「峰」と形容したのはさすがにうまいと感じます。夏のエネルギーを最も感じさせてくれるのがこの雲ではないでしょうか。

上空に盛り上がった形から入道雲と呼ばれ、それぞれの地方で「坂東太郎(関東)」「丹波太郎(大阪)」「比古太郎(九州)」、それ以外にも「信濃太郎」「石見太郎」「安達太郎」などと称えられます。雷雨や夕立を降らせることから雷雲、夕立雲との別名もあります。


<日盛り>
真夏の真昼間に山を歩いていると
意外に静かなのに驚く
わずかに蝉の声が聞こえるだけ

つい先日まで囀っていた鶯も不如帰も
鳴りをひそめている
人影ももちろん無い
気温は三十四度
しかし木陰は涼しい

アスファルトとコンクリート
むき出しの日差しを受ける
都会の路上では考えられない涼しさだ

ときおり風が通り抜けていく
木の葉が揺れ日差しが揺れる
汗を拭きながら歩くのだが
倦怠感も不快感もない

真夏の暑さのただなかで
いま生きているのだと感じる


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