□◆□…優嵐歳時記(2337)…□◆□
笹揺れてゆっくり猪来る気配 優嵐
猪が右前肢を骨折していました。散歩の途中、よく出会う東屋のところで団栗を食べているのを見かけましたが、足音がおかしいのです。ベンチに座って観察すると、右前肢をひきずっています。ちょうど手の甲をだらりとたらしたような格好です。
どこで怪我をしたのでしょう。最近、「動物へのえさやりはおやめください」との看板が立てられていました。猪にえさをやる人がいるのですね。彼女が人に慣れ、私の姿を見ても警戒しなくなったのはその影響かと思います。車の近くに寄っていって接触でもしたのか。
猪にあんな怪我をさせられる動物はこの辺にはいません。野生動物が人に慣れすぎるのも逆に危険なことなのかもしれません。あのような状態で冬を越せるでしょうか。蹄に炎症を起こすことも考えられますし、何よりあれでは素早く動くことができません。どうしてやる術もありませんが、何だか悲しくなりました。
<ヤマカガシ>
ヤマカガシが這って行くのを見た
何か様子が違うと思った瞬間
カエルが飛び出してきた
渾身の力を振り絞って逃げるカエルを
ヤマカガシが追う
ぐっと鎌首をもたげ
見たこともないような猛々しい姿
カエルはジャンプを試みたが所詮は空しい
あっという間に追いつかれ
左脚をくわえ込まれてしまった
鎌首をもたげてカエルをくわえたまま
ヤマカガシは落ち着いて
食事ができる場所へと移動する
やや落葉がたまっている柔らかな斜面で
身体を反転させる
カエルは残った右脚を蹴って
なおも逃げようとしている
カエルの身体はヤマカガシの頭の二倍はある
いったいどうやって丸ごと食べるのかと思うが
まるで排水口に吸い込まれていく液体のように
カエルの身体がすううっと消えていく
最後にヤマカガシの赤い口が見え
ペロペロっと舌先がのぞいた
お食事はこれでおしまい
笹揺れてゆっくり猪来る気配 優嵐
猪が右前肢を骨折していました。散歩の途中、よく出会う東屋のところで団栗を食べているのを見かけましたが、足音がおかしいのです。ベンチに座って観察すると、右前肢をひきずっています。ちょうど手の甲をだらりとたらしたような格好です。
どこで怪我をしたのでしょう。最近、「動物へのえさやりはおやめください」との看板が立てられていました。猪にえさをやる人がいるのですね。彼女が人に慣れ、私の姿を見ても警戒しなくなったのはその影響かと思います。車の近くに寄っていって接触でもしたのか。
猪にあんな怪我をさせられる動物はこの辺にはいません。野生動物が人に慣れすぎるのも逆に危険なことなのかもしれません。あのような状態で冬を越せるでしょうか。蹄に炎症を起こすことも考えられますし、何よりあれでは素早く動くことができません。どうしてやる術もありませんが、何だか悲しくなりました。
<ヤマカガシ>
ヤマカガシが這って行くのを見た
何か様子が違うと思った瞬間
カエルが飛び出してきた
渾身の力を振り絞って逃げるカエルを
ヤマカガシが追う
ぐっと鎌首をもたげ
見たこともないような猛々しい姿
カエルはジャンプを試みたが所詮は空しい
あっという間に追いつかれ
左脚をくわえ込まれてしまった
鎌首をもたげてカエルをくわえたまま
ヤマカガシは落ち着いて
食事ができる場所へと移動する
やや落葉がたまっている柔らかな斜面で
身体を反転させる
カエルは残った右脚を蹴って
なおも逃げようとしている
カエルの身体はヤマカガシの頭の二倍はある
いったいどうやって丸ごと食べるのかと思うが
まるで排水口に吸い込まれていく液体のように
カエルの身体がすううっと消えていく
最後にヤマカガシの赤い口が見え
ペロペロっと舌先がのぞいた
お食事はこれでおしまい
コメント
コメント一覧 (6)
おかげさまで病気の方はだいぶよくなりました。
俳句には優嵐さんの優しさが表れていますね。
むかし読んだ本で、動物にとって怪我は死を意味するというくだりがありました。
人間に生まれてよかったと思います。
<ヤマカガシ>は、冷静に自然の現実を見ていますね。
詩にはユーモアさえ漂っていますが、これが現実なのですね。
やはり、人間に生まれてよかったと思います。
優嵐さんの今日がよき日でありますように祈っています。
コノ前餌を与えている車を見ました。
立て札が立ちましたか。
私は飲み込まれかけた蛙を助けたことがあります、助けるつもりじゃなかったが何に巻きついているのかと触ってしまった。
ホントに助かったかどうかは確認しておりません。
多分モリアオガエルだった。
体調が回復されてきているようで何よりです。
野生の世界は人間の目で見るとやはり厳しいですね。ただ、野生動物がそれをつらいと思っているのかどうか。ライオンや虎は動物園にいるよりやはり野生にいる方が幸せでしょうし。ま、「幸せ」という概念が人間のものかもしれません。
ヤマカガシが捕食するところを初めて見ました。迫力がありましたね。目が離せませんでした。これも無常の世界であって、すべてがつながっているということでもあると思います。一見食べられるカエルが可哀想な気もしますが、カエルがヤマカガシという存在を支えているともいえますね。
はい、骨を折っていると思いますね。脚がありえない方向に曲がっていましたから。立て札がたったのは最近です。よく白鳥などの冬の渡り鳥にえさを与えたりしていますよね。白鳥はよくて猪はだめなのかしら、と思ったりしましたが。畑を荒らすので苦情が出るのかもしれません。あの猪は麓へは行かないとは思いますが。
ヤマカガシは毒を持っていますからうっかり手を出すと危ないですよね。死亡するほどの事故になることもあるようです。普段はおとなしく、姿をみてもさーっと逃げてしまいますから、毒を持っているとは思えませんが、どうもマムシより毒そのものは強いそうです。
人間のせいで、そうなった野生の動物はなおさらです。
イノシシも追いかけられると怖いので「いなくなれば山へ入りやすいのに」
と思いますが、弱った姿を見るとかわいそうに思います。
身勝手ですよね。
ヤマカガシもカエルも散歩中には、いない方がありがたいのですが、
こういう場面や弱っている姿を見ると、心が痛みます。
こういうものだと理屈では分かっているのですが、できれば
みたくないです〜(田舎なので、食べてる姿も死んでいる姿もよく見るんです〜)。
動物好きの天丸さんだから、心がいたむというのはよくわかります。私も特に猪と親しくなっていたわけではありませんが、それでもなんだかやりきれないような気持ちになりました。今、どうしてるだろうなあ、なんて思いますね。
今回のヤマカガシとカエルの姿からは確かに残酷な一面も感じたのですが、それ以上に命の循環というものについて、机上の学問ではなく、生の現実として目の前で見られたのは、自分にとってはいい経験でした。たびたび見るとなると、ちょっとかんべんしてくれ〜ですけど。