□◆□…優嵐歳時記(2354)…□◆□

  鳶一羽色無き風を正面に   優嵐

「色無き風」とは秋風を意味する季語です。秋の風には他に「白風」「素風」「金風」といった季語もあります。紀友則の「吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」(『古今六帖』)の歌に基づいています。秋風は万物を枯らすものであり、落剥、凋落の思いが哀れ深く、しみじみとした思いを誘います。

そうしたしみ入る寂しさを感じながらも、この句ではその風を正面に受けて飛ぶ鳶を詠みました。秋とはいっても生き物はやはりいきいと活動しています。鳶の翼にみなぎる躍動感をとらえたいと思いました。

色という言葉、日本語では大変多くの意味があります。色彩やそれに関係するものだけでなく、容姿などが美しいこと、ものの趣、愛情、種類などといった、言葉になりきれないほどの範囲の広がりを持ちます。そういえば、「いろは」も最初は色で始まっています。


<色即是空>
色は空から生まれ空に向かう
空なくして色はなく
色あれば必ず空がある

それを繰り返し
律動しながら
万物はなりたっている

あなたがいる場所の広がり
それがすなわち空
空に支えられなければ
色は存在できない


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