□◆□…優嵐歳時記(144)…□◆□

    あこがれを映して高し雲の峰      優嵐

「雲の峰」とは積乱雲のことです。入道雲ともいいますね。強い
日差しによって地表が熱せられ、激しい上昇気流が起こって、晴天の
真夏の午後にむくむくと立ち上がります。場合によっては上空数千
メートルに達します。その輪郭は鋭く、青空を背景に夏の陽を反射
して輝いているさまには、むき出しの真夏のエネルギーを感じます。

ただし、歌言葉として用いられた形跡はなく、むくつけき入道雲は
貴族の歌の題にはとりあげられませんでした。もともとは漢詩から
きた言葉で、それが俳諧に取り入れられ、詩語として定着したのは
元禄時代以降です。芭蕉が「雲の峰いくつ崩れて月の山」と詠んで
います。