□◆□…優嵐歳時記(2500)…□◆□ 

  春の朝もっとも深く眠りけり   優嵐

地震のあと日経先物は暴落しました。リーマンショックのときよりも下げ幅が大きかったので、大勢の人が追証の発生で大変なことになっているだろう、と想像できました。たまたま何かを検索していてそういう方の質問が載っているページに入り、驚きました。

個人が十億円の損失です。別の方は四億円…。単なるストーリーかと思っていたら、実際に証券会社が追証発生で数十億の損失が出ているという事実をHPに載せていました。証券会社の中には証券部門そのものを廃業してしまったところもあります。

億単位の巨額損失に共通しているのはオプションの売り建てでポジションを持っていたということです。オプション取引の仕組みはややこしく見えますが、身近なものでいうと、保険があります。保険契約者は買いのポジションであり、保険会社は売りのポジションです。

今回の場合、地震そのものよりもその後の原発事故で売りポジションが吹っ飛んだ可能性が高いのではないか、と思います。地震発生と津波は確かにとんでもないことでしたが、その日の相場は比較的落ち着いていました。売りで損失を出した人は、地震発生の11日の夜に「プットの売り」ポジションを取ったのではないでしょうか。

「プットの売り」とは、日経先物が下がった場合、その損失を引き受けます、という意味で取るポジションです。その代り上昇した場合は、保険をかけていた買い手の「保険料」が手に入ります。週明けの14日から15日にかけて原発事故が深刻化し、日経先物は暴落しました。地震だけですんでいれば、日経先物は反発上昇したはずでした。その反発を狙ったところへ逆の大津波が来た形になったのです。

オプションの売りポジションは滅多に損をせず、細かな利益を積み上げていくことができます。ただし、相場が反対に大きく動くと損失はほぼ無限大です。普段ほとんど損をしませんから、売りのポジションは安全だと思い込んでしまうところがあります。津波は来ない、と思ってしまうのですね。


<あまりに日本的>
震災の混乱がおさまったら
日本は大きく変わるだろう

明治維新
黒船によって破られた江戸の眠りは
危機感の中で日本人の能力に火をつけた

敗戦
焼け野原となった都市と二発の原爆は
飢えの中で日本人の能力に火をつけた

そして今
巨大津波と原発事故の恐怖は
豊かさの中で鈍っていた日本人の能力に火をつけるだろう

内側から激発するのは苦手だけれど
外圧がかかったときの反発力と柔軟性は天下一品

変わるときはさっと方向を変え
渡り鳥の群れのように
どんな遠距離もものともしない
それが日本人の強み

負けないで
規律正しいだけじゃない
ここからこそ本領発揮



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