□◆□…優嵐歳時記(2503)…□◆□

  少年も少女も自転車春休み   優嵐

被災地への救援物資として、パンクしない自転車というのが大阪堺市から仙台市に送られたというニュースを見ました。タイヤに特殊な加工がされていて、瓦礫を踏んでもパンクしないのだとか。燃料不足の被災地で足として重宝されているそうです。

原発事故の収束はまだまだ先が見えません。さらに、停まっていた火力や水力発電所を再稼動させても、夏場の電力消費のピーク時にはかなり足りないようです。夏場にエアコンのないオフィスビルで仕事などできるものではありません。停電すると熱中症で亡くなる方が出ることも考えられます。

地震や津波よりもこの電力不足から日本のビジネス慣行がかなり変わるのではないか、と思います。今年の夏をなんとか乗り切るために誰もが知恵を絞るでしょう。これを機会にエコロジーでない働き方が変わるかもしれません。

服装はもちろん、仕事時間をフレキシブルにしたり、在宅でできる仕事は極力そうしたり、ということなどです。すでにノートパソコンひとつで仕事ができる業種は東京から脱出する動きが出ているそうです。何もかも東京を中心にして人もモノも集め、効率だけを優先してやってきたこれまでのやり方を、否応無く考え直さざるをえなくなっています。

ガラス張りの高層ビルを林立させ、エアコンで寒暑を消し去り、1分間隔で隙間無く運行する電車で人々を運び、24時間あらゆるものが起きて活動している、そんな街を維持していくには膨大な電力が必要です。電力を供給しきれないから原子力を使おうということになったのでしょう。

地震や津波は必ずまたやってきます。今回より規模の大きなものが来ないという保証もありません。それを覚悟で再度原子力発電所を稼動させるか、暮らし方を考え直すか、そういう課題を突きつけられているのです。


<ダイエット>
ダイエットのつらさは
そこにある好物が食べられないことだ
簡単にいくらでも手に入る大好物
それが一番の罠

二十世紀後半に至るまで
人類はずっと飢餓の恐怖の中で生きてきた
思考回路も身体の仕組みもそれに備えている
それが突然先進諸国では
過食と肥満とそれに伴う疾病の恐怖に変わった

人類文明もいまやダイエットの時期に入っている
そこにすでにあるものが利用できない
原子力はその象徴かもしれない

なければ我慢できる
あるのに我慢しなければならない
そこに究極の困難がある
ダイエットとは自らの本能的欲望を手なづけることなのだ

人類はそういう段階にまで足を踏み入れてしまった
踏み入れてしまった以上
ダイエットは続けなければならない


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