□◆□…優嵐歳時記(2535)…□◆□ 

  青柳の明るささらに驟雨あと   優嵐

ゴールデンウィーク初日はいいお天気でした。「青柳」とは、新葉を出し始めた柳を意味します。万葉の昔から柳は晩春を象徴する景物でした。平城京にも平安京にも街路樹として柳が植えられており、『古今集』の素性法師の歌、「見わたせば柳さくらをこきまぜて 宮こぞ春の錦なりける」などを見ると、往時の様子がしのばれます。

八重桜、霞桜は咲いていますが、山々は完全に新緑へと移りつつあり、萌え出した木々の新葉が青空に映えてきらめくようです。増位山の頂近くにウツギ(卯の花)らしい木が白い花をいっぱいに咲かせています。『夏は来ぬ』で歌われているように卯の花は初夏を告げる花であり、山のあちこちにそれらしい白い花が見えます。

シャガはどんどん咲きだし、フジも開き始めています。フジは他の木々をよじ登りその枝先に花をぶら下げます。花は咲く前は小さく固めたソーセージのような形をしています。それが開きはじめると甘い香りを放ち、あのように見事な藤房になります。

<新緑へ>
広がり始めた楓の新葉
紅い小さな花をしたがえて
春の日差しをかえしている

萌黄色のその一枚に手を伸ばす
こんなにやわらかなものが
無造作にここにあってよいものか

指先に触れるその感触を
楓は高い幹の上の枝の葉のすべてに
いま持っているのだ

見上げれば重なり合って
小さな新葉たちがさざめきあうように
青空を向いている

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