□◆□…優嵐歳時記(2548)…□◆□ 

  卯の花腐しノンフィクションを読みふける   優嵐

陰暦四月を別名「卯の花月」といい、この頃降り続く雨を「卯の花腐し(うのはなくたし)」といいます。降り続く雨が卯の花を朽ち果てさせるというので、この名がつきました。三日降り続いた雨がようやくあがりそうです。

雨が降り続いた間、絵を描くと同時に『消えたカラヴァッジョ』というノンフィクションを読んでいました。カラヴァッジョはイタリア・バロック時代の天才画家です。四百年間行方不明だった彼の『キリストの捕縛』がアイルランドで1990年に発見された事件をめぐる読み物で、これがその辺のミステリーなどより数段面白く、久しぶりに読書を堪能しました。

まだ最後まで完全に読了してはいませんが、人物描写が素晴らしい。また、このカラヴァッジョという画家自身は、いわゆる「破滅型の天才」です。ローマで若くして画家として大成功をおさめながら、暴力沙汰を好み、最後は殺人を犯して逃亡中に39歳で亡くなるという人生を送っています。

それほどの才能に恵まれながら…なのですが、逆にそれほどの才能に恵まれていたからこそ破滅から逃れられなかった、そういう天分を持っていたからこそああいう絵が描けたのだ、と思います。光と闇は表裏一体、強みと弱みは双子です。


<新緑>
雨がやんだのを見計らって
自然歩道へ出かけた
薄暗く感じるのは
お天気が悪いせいだけではない

ほんの二日来なかっただけで
この緑の茂り具合はどうだろう

雨を含んだ楓の枝は重く垂れ
下を通り抜けることも難しい
葉桜はぐんぐん緑を濃くし
奔放に枝を伸ばしている

りんごの種ほどだった梅が
もうビー球ほどに太っている
命がぐんぐん充実していく季節


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