□◆□…優嵐歳時記(2622)…□◆□

  一匹の蟻が引きゆく鳥の羽根   優嵐

森を歩いていたら、目の前の地面をこげ茶色をした野鳥の羽根が動いているのが見えました。近づいてよく見ると、一匹の蟻が羽根の根元にいて引いていくところでした。ここから連想したのが三好達治の「土」という詩です。

蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
ヨットのやうだ

子どもの時これを読んで、ふーんなるほどなあと思い、妙に印象に残りました。野鳥の羽根は……、野鳥の羽根としか言えないですね。空蝉も見ました。梅林の東屋の柱にしがみついていました。毎日何か昨日とは違うものと出会えるのが楽しみです。

IMG_1454<蝉と蜂>
地面でもがくアブラゼミに
スズメバチがとりついていた
盛んに脚を動かして
逃れようとする蝉

蜂はしっかり銜えて離さない
蝉が可哀想とは思わない
ここにひとつの生命の流れが展開している
その流れの中に
私も存在している