□◆□…優嵐歳時記(2685)…□◆□

  彼岸花平らになりぬ昼の雲   優嵐

ヒガンバナが最盛期です。秋の彼岸に咲くからヒガンバナ、単純明快なネーミングです。日本へは有史以前に渡来したと考えられ、人里の近くにのみ咲いています。俳句では別名の曼珠沙華(マンジュシャゲ)がよく用いられます。これは梵語で「天上に咲く赤い花」という意味だそうです。

坂井泉水さんの月命日です。今日はZARDの五枚目のシングル『IN MY ARMS TONIGHT』(92.9.9)を取り上げます。この楽曲の次に発売されるのが『負けないで』であり、このころはテレビにも出演しています。ミュージシャンとしては、92年8月7日に「ミュージックステーション」に出演したのがテレビ初登場であり、93年2月5日の同番組で『負けないで』を歌ったのが最後の出演です。

わずか半年、それでありながらかろうじて代表曲の『負けないで』を歌った映像が残っていたというのは、何か運命的です。このテレビ朝日系列の映像が亡くなった年の紅白でもその後のライブでも使われていました。『負けないで』ではビデオクリップさえ撮影しなかった、ということなのでしょうか。

IN MY ARMS TONIGHT



『IN MY ARMS TONIGHT』は冒頭が「そう知らなかった」という唐突なつぶやきのような言葉で始まっています。後に「でも」や「だけど」という逆接の接続詞を歌の冒頭にもってくる特異な言葉の使い方の気配がすでにここにあります。

歌詞の中に、「秋の気配が近づくわ」とあるので、恐らく八月の終盤から九月初旬あたりに発売されたのだろうと思っていたら、9月9日の発売でした。俳句は暦の上で季節を詠んでいきますので、俳句で「秋の気配が近づく」と感じるのは七月の末から八月の頭ですが、一般の季節感としては、ぴったりのころといえます。暑さ寒さも彼岸まで、夏の恋も彼岸まで、そういう内容の歌詞です。