□◆□…優嵐歳時記(202)…□◆□

    秋の雷ドイツの本を読みながら   優嵐

今、アーダルベルト・シュティフターの『晩夏』(ちくま文庫)を
読んでいます。上下巻あわせて1000ページになろうかという長大な
物語でありながら、全編穏やかで控えめな人々の会話が自然描写の
中にちりばめられ、淡々と続いていきます。穏やかな大河を思わせる
不思議な小説です。ニーチェが、「繰り返し読むに値するドイツ
文学の宝である」と推賞しています。

仕事の休み時間に休憩室で安楽椅子にもたれかかりながら読んでいる
ので、うたた寝をしてよけいにすすみません。先を読まずにはいら
ない、というような作品ではありませんが、静かなBGMを思わせる
気持ちのいい作品です。それにしても読み始めたときは夏の盛りだった
のに、いつの間にか秋も半ばになりました。冬が来る前に読みきる
ことができるでしょうか。