□◆□…優嵐歳時記(329)…□◆□

    月光の冴ゆるを浴びて戻りけり   優嵐

深夜、コンビニで買物をして戻っていたら、足元に影ができて
いました。中天に十三夜の月が照っています。「冴ゆる」とは、
寒さがきわまり、透明に澄んだよどみのない冷たさのことを
さします。春は朧月、秋は名月といつも鑑賞の対象であった月
も寒中にあっては、鋭利な刃物で切り取ったような鋭さを見せ
ています。

具体的な寒さというよりも感覚に訴える季語ですから、月の光
だけではなく、声冴ゆる、風冴ゆる、星冴ゆる、という具合に
使います。ここから転じて技の切れ味の鮮やかさという意味に
も用いられます。怜悧な感覚ですね。