増位山の自然歩道では、時々野生動物を見ます。最も多いのは猪です。動作は俊敏で大型のラグビーボールが飛んでいくように走ります。

アメリカの大統領選挙が世界中の大方の予想を覆しトランプ勝利に終わって一日以上がたちました。アメリカでは都市部を中心に反トランプのデモが起きたりして、前途多難だと思わせます。彼の問題点は、アメリカが築き上げてきた理想をばっさり否定したことにあるでしょう。

これまでアメリカは内実がどうあれ、人種、性、宗教あらゆることに関して自由と平等をたてまえとし、その実現に向けて努力してきました。アメリカ大統領はその象徴であったのに、トランプ氏はそれを真っ向から否定するような言動を選挙戦の間中取り続けました。

皮肉にもそれが一部の人たちの鬱屈していた思いに火をつけ、結果的に熱狂的な支持を得るに至りました。しかし、レイシスト、性差別主義者、といったレッテルを貼られてしまった人が「象徴」としての役割を果たせるのかどうか…。

ブッシュ氏とゴア氏が戦った2000年の大統領選挙も大接戦で、結果的に得票数は少なかったにもかかわらず、選挙人を多く獲得したブッシュ氏が大統領になりました。あのときもさまざまな議論が巻き起こりましたが、今回のようにブッシュ氏そのものを「我々の大統領ではない」と否定する人はほとんど見られませんでした。それだけに今回の事態の修復は極めて難しいのではと感じます。

今回も単純な獲得票数ではクリントン氏が上回っていますから、選挙制度の改革を求める声が出るかもしれません。

また、この大統領選挙は単にアメリカに留まらず、これから続くヨーロッパの首長選びに大きな影響を与えそうです。すでにテロや移民問題でアメリカ以上に疲弊しているヨーロッパで、排外主義、自国第一主義がさらに伸張し、極右が台頭する状態も懸念されます。

大衆の感情をつかんで揺り動かすことのうまい政治家(この夏のイギリスのBrexitを主導したボリス・ジョンソンや今回のドナルド・トランプのような人)が出てきて扇動したら、それを理性で抑えられる人はあまり無いように思います。
vaddiszno-erd