朧の夜
北東側のベランダを片付けて、今、そこで毎日楽しんでいるのがBioLiteのCookStove(クックストーブ)です。小枝を燃やして調理するというコンセプトで作られています。
IMG_4392

最初は山登りに持って行っているコンパクトガスストーブの代わりになる、と思いました。しかし、それよりもベランダでこれを使ってコーヒーを入れたりする方が楽しくなっています。何が楽しいかというと、自然にある小枝を使って火をおこし、それを見ながらお湯を沸かしたりする行為そのものが楽しいのです。

コンパクトガスストーブはガスの炎が出ます。効率はいいですが、それを見ていても楽しくもなんともありません。このクックストーブだと、小枝によって作られた自然の炎を見ることができます。焚火の炎を飽きず眺めていられるのと同じ原理です。

危険はありません。小枝は燃焼炉の中に納まるクレパスほどの長さであり、太くても人差し指ほどのものです。火がおこる仕組みのポイントは、このストーブの横についている青い装置です。

これは送風機です。充電できるようになっており、燃焼させるときにスイッチを入れれば、燃焼炉の中に風が送られます。それによってすぐに着火し炎があがるようになります。燃焼すれば、効率よく燃えるので煙はほとんど出ません。

一握りほどの小枝で一杯のコーヒーに必要なお湯を沸かせます。このストーブの上に載せる専用のポットがあり、それを使えば、煙突効果で燃焼の効率がいいうえに、熱の伝わり方の無駄もないため、こんな少量の小枝でお湯が沸くのです。

小枝は山で散歩したときに拾ってきます。数十メートルも歩けば、普通サイズのレジ袋を満たすくらいの小枝が集まります。細い小枝なので、長ければ簡単に折れます。こうして小枝を拾うまで、これほどたくさんの小枝が森に落ちていることに気づきませんでした。適度な大きさ、長さ、太さのものしか拾いませんが、それでも連日必ず次の小枝が落ちています。

小枝を拾うこともとても楽しく、眠っていた狩猟採集民の遺伝子が目覚めたような気がしています。狩猟採集民は獣を狩ったり、魚を獲ったり、木の実を採集したりしたでしょう。それと同時に煮炊きするための薪を集めたはずです。

ポットにかける専用ストーブの底の穴は空気が抜ける穴であると同時に火の様子を見る穴であり、小枝を足していく穴にもなります。ポットは1.5L以上入りますが、一度にそんなにたくさんお湯を沸かすことはありません。少量の水しか入っていなければ、軽いので、ポットを持って直接小枝を燃焼炉に入れることもできます。

ポットには水を注ぐための薬缶のような蓋がついていたのですが、これが使いにくく、外してしまって手持ちのクッカーの蓋で代用しています。これがあつらえたようにぴったりで、重宝しています。

小枝が燃えてしまうと、1Lお湯を沸かしても掌に乗るほどの灰しか残りません。十分冷めたら空缶に移し、さらに半日程度おいて、完全に火が消えているのを確認してから木の根元などに撒きます。山で使う場合はスコップで穴を掘り、灰を入れて水をかけてから穴を埋めます。
IMG_4394