優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2004年07月

□◆□…優嵐歳時記(159)…□◆□

    夏暁風の音にて目覚めけり    優嵐

今、新幹線の中にいます。今朝は4時半に起きました。6時過ぎの
新幹線に乗る必要があったからです。こんな時間に起きるのは年に
数回のことです。夏とはいえ、まだ外は暗く、風の音がして
いました。雨はまだ降っていませんでしたが、家を出るころに
雨が降りだしました。

風が強く、傘をさしてあるくのが難しそうでしたので、雨に降られ
るがままに歩いていきました。駅まで行ってしまえば、あとは濡れる
ことはないからです。雨も風もそれから激しくなることはなく、今、
京都駅を出たところですが、空はところどころ雲が切れて青空さえ
のぞいています。


□◆□…優嵐歳時記(158)…□◆□

    夏台風近づくを聞くひとりの夜    優嵐

台風10号が太平洋の沖合いを西に向かって進んでいます。もともと
台風は秋の季語ですが、近年は秋よりも夏に日本へやってくることが
多くなっている気がします。この台風も迷走気味で、東から西へ
進むという異例の進路をとっています。

さきほどから戸外では風の音が強くなってきました。まだ雨は降って
いませんが、明け方にはどのようなお天気になっているか気になり
ます。明日は早朝の新幹線で東京に向かうからです。なんとかあまり
影響がないように祈りたいところです。


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□◆□…優嵐歳時記(157)…□◆□

    坂道へ真昼の光フロックス    優嵐

フロックスはハナシノブ科、北米東部原産の多年草です。6月〜9月
に1メートルほどの直立した茎の先に五裂の小さな花がアジサイの
ように集まって咲きます。大きな花序が花魁の髪型に似ているという
ので、別名オイランソウ、または花がキョウチクトウに似ているところ
からクサキョウチクトウともいいます。

原種の花は紅紫色または白色ですが園芸種にはピンク、オレンジなど
もあります。日本には明治時代の終わりごろに渡来しました。

□◆□…優嵐歳時記(156)…□◆□

    地中海料理を囲む盛夏かな    優嵐

土曜日は東京でISIS編集学校の生徒さんたちとオフ会でした。東京の
暑さは尋常ではありません。原宿で落ち合い、近くのギリシャ料理の
店に集まって食事をしながら語り合いました。この日初めてお会いする
人もあり、ネット上でのイメージと重ね合わせて楽しむのもまた一興
です。

「盛夏」は梅雨明けから立秋までの夏本番の時期をさします。今年は
すでに記録的な猛暑になっています。日中の気温が30度を越えると
真夏日といいます。ちょうど10年前の94年が猛暑で、東京の真夏日は
66日と、観測史上一位でした。今年はそれを上回りそうな勢いですが…。

□◆□…優嵐歳時記(155)…□◆□

    モビールの揺れる虚空の涼しさよ    優嵐

日曜日に東京渋谷にあるワタリウム美術館へ行ってきました。今、
「エンプティ・ガーデン2」と題した6人のアーティストの展覧会
がおこなわれています。中でもスイス出身の二人のアーティスト
シュタイナー&レンツリンガーの「ホエール・バランス」という
作品が飾られた部屋は不思議になごむ空間でした。

現代アートは意味を理解しようとするよりも、そのままを感じるのが
いいようです。「涼し」は最も涼しさを欲するのが夏であることから
夏の季語になっています。暑さの極みのなかで感じるほんの少しの
涼しさ、だからこそ特別な心地よさがあるのですね。

□◆□…優嵐歳時記(154)…□◆□

    雨少し降りて穏やか夏の朝    優嵐

姫路でも連日猛暑が続いていますが、今朝は雨が降って比較的涼しい
朝になりました。とはいえ日中の暑さは変わりませんでしたが。
今ではすっかり冷房が行き渡り、時間に関係なく仕事をするように
なりましたが、それでも外回りのちょっとした仕事は朝のまだ涼しい
うちに済ませておこうという気持ちが働きます。

日中の炎暑を避けてジョギングをしたり、散歩をしたりする人の姿
を見かけるのも夏の朝の風情です。それでも晴天の日などはすでに
早朝から蝉の声がにぎやかになります。ひんやりとした清涼感は
あっという間に消え去ってしまいますね。

□◆□…優嵐歳時記(153)…□◆□

    百日紅咲くあの町もこの町も    優嵐

この週末は松岡正剛千夜千冊達成記念の「縁会ブックパーティ」に
出席するために東京へ行っていました。新幹線の窓から眺める町には
いずこもサルスベリの濃いピンクの花が咲いていました。サルスベリ
は七月から九月の終わりまで咲き続け、この花期の長さから中国名
を百日紅といいます。日本名のサルスベリは木肌がつるつるしていて、
猿もすべってしまうだろうという意味です。

高さ2〜6mのミソハギ科の落葉高木または低木で、遅くとも江戸
初期には日本に渡来していました。花の色は他に白や紅もあり、
六弁花で、花弁の基部が細く、先が広く縮れているのが特徴です。
夏の庭を彩る花木の代表格と言えるでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(152)…□◆□

    大いなる自由の響き夏休み    優嵐

小中学校の夏休みが始まりました。夏休みに入ったばかりのころと
いうのはその先にある40日近くの日々が無限の自由を表している
ようで、わくわくしたものです。ラジオ体操をして、朝の涼しいうち
に宿題をして、それからプール。午前中のプールというのは水が
冷たく澄んでいて気持ちのいいものでした。

プールを出たら、濡れた身体のまま夏の日差しの中を帰りました。
帰ったらスイカを食べたり葡萄を食べたり。一本のアイスキャンデー
のおいしさは子どものときだからこそ経験できるものだったに違い
ありません。なんだかもうおぼろげな曇りガラスの向こうへ行って
しまったようなあのころの夏休みの日々。

学生のときは行き返りともフェリーというのんびりした行程で沖縄の
離島を旅してまわったことがありました。お金はなくても時間だけは
たっぷりあった時代です。真っ黒に日焼けして、あれが心おきなく
日焼けした最後の夏だったかもしれません。

□◆□…優嵐歳時記(151)…□◆□

    日は高く土用三郎輝けり    優嵐

連日猛暑が続いています。体温並みの気温に加え、この蒸し暑さ、
ぐったりされている方も多いことと思います。19日(月)は土用の
入りでした。土用は春夏秋冬すべてにありますが、いまは盛夏の
イメージが定着しています。「土用の丑の日」とウナギのおかげ
でしょうか。

夏の土用は小暑後13日から立秋までを指します。土用入りの日を
土用太郎、二日目を次郎、三日目を土用三郎と呼びます。土用三郎の
日の天候によってその年の耕作の吉凶を占う習俗があったといわれて
います。昨日の姫路は午後から少し雲が出て二度ほど通り雨があり
ました。アスファルトが濡れているのを見て初めて雨があったのだと
気づいたほどのわずかな雨でした。

□◆□…優嵐歳時記(150)…□◆□

    水熱く百日草の咲きにけり     優嵐

今日、東京は最高気温が39.5度だったとか。猛暑ですね。熱中症が
多発していますから、お気をつけください。このような炎天に咲く
花は、みな太陽に負けない華やかな色をしています。ヒャクニチソウ
もそのひとつ。花の期間が長いのでこの名前になっています。

メキシコ原産で、18世紀末にスペインを経由してヨーロッパに渡り、
各国で品種改良がおこなわれました。その後、アメリカにも渡っています。
日本への最初の渡来は江戸時代末の文久二年(1862年)です。外側から
順々に開く舌状花を持ち、それぞれの花弁が肉厚で丈夫なことから花の
持ちがよく、仏花としてもよく用いられます。

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