花樗
花樗(はなおうち)とは、センダンの花のことです。樗はセンダンの古名でもとは衣の襲の色目から来ています。夏衣の色の取り合わせを意味し、表が薄紫ならば裏は青、表が紫なら裏は薄紫という具合です。この薄紫色がセンダンの花にたとえられました。

センダンは落葉高木、庭園や街路樹では高さ10m以下におさえられますが、自生のものでは30mを超えます。増位山にあがるドライブウェイのかたわらに今、この花が咲いています。梢の大きな葉腋から15cmほどの円錐花序が出て多数の薄紫色の花が咲きます。

古くから親しまれた花であり、清少納言は『枕草子』のなかで「木のさまにくげなれど、樗の花いとをかし」と書いています。ことわざの「栴檀は双葉より芳し」の栴檀は、香木の白檀のことで、別の木です。
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