優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年03月

□◆□…優嵐歳時記(393)…□◆□

  三月尽今日で最後の宮仕え  優嵐

あっという間に三月も終わってしまいました。今日は
公務員としては最後の日になりました。穏やかないい
お天気でした。退職を決めて一週間で退職となりました。
お餞別をいただいたり、お世話になった方に挨拶に
いったり、退職にともなうさまざまの手続きをしたり
して一日が暮れていきました。

今も「そうか、もう明日からは出勤してタイムカードを
押す生活は終わったのだ」とふと思います。考えてみれば
保育園に通い始めたころから慣れ親しんだこのリズム。
しばらくの間は、何度ももうそれは終わったのだと言い
聞かせることになるでしょう。

「三月尽(さんがつじん)」は三月最後の日、および三月
の終わることをさします。明日からは新しい年度の始まり。
町にフレッシュな新社会人の姿が見られることでしょう。


□◆□…優嵐歳時記(392)…□◆□

  易占は当たっていたよ春の星  優嵐

明日で出勤するのは最後ですから、仕事の最後の引継ぎ
をしたり、やり残していたことを片付けたりしています。
去年のスケジュールが書いてあるカレンダーを見ると、
いえ、二週間前でさえ、こうして三月末で退職するとは
思いもよりませんでした。退職したいという願望は新年
になったころからちらほらと芽生えてはいたのですが。

私は自分で易を見ることがあります。易は占いというより
自分の心に問いかけるためのひとつの道具のような気が
します。お正月に「三月の退職はどうか」と占ったところ、
(もちろんこのときは退職することになるとは全く考えて
いませんでしたが)

「これまでとまったく違うことを始めるといい。自分で
変えようとしなくても、まわりの状態が急激に変わる運勢
にあるから、変化に備えて心を落ち着けること。小さな
変革ではすまない。」というメッセージでした。
潜在意識は知っていたか…、と思いました。

□◆□…優嵐歳時記(391)…□◆□

  連翹や明日はいつもまぶしくて  優嵐

「連翹(れんぎょう)」は桜が咲くころに満開になる、
鮮やかな黄色の花をつけるモクセイ科の落葉低木です。
住宅街を通っていると大きな連翹に会いました。坂道
の住宅地で、登っていく先に天に向かって咲くように
鮮やかな黄色が踊っています。

花はやはりいいなと思います。それを見るだけで気持が
明るくなります。急な退職ですが、朝方退職届を出して
しまえば、あとは他の人たちがどんどんものごとを前に
進めてくれている、という感じです。これって何かに
似ているなと思ったら、そう、お葬式の日の「身内」
がこんな感じだった、と思い出しました。

当の本人は中心ではあってもそのことの対してとくに
何もすることというのは無いのですね。

□◆□…優嵐歳時記(390)…□◆□

  木の芽時わが人生の変わるとき  優嵐

「木の芽時」とはさまざまな木が芽吹くころのことです。
昨夜から降り出した雨が終日細かく降り続いていました。
退職届を書かねばなぁと思いながら、こういう形で退職
することになるとはなぁと感慨もあります。どちらに
せよ、人生はいつかどこかで少しずつ変わっていくもの
なのでしょう。

今の仕事を続けたいとは全く思いませんが、それでも
それなりに思い出はあり、突然の卒業式の前日のような
気分です。この感じは不思議です。そこに留まりたいと
いうのではないけれど、そこで過ごした日々がすでに
もう帰らないものである、とあらためて感じています。

□◆□…優嵐歳時記(389)…□◆□

  イースター静かに雨の降り始む  優嵐

昨夜はおぼろ月夜でした。昼間はうす曇のまますぎましたが、
夜になっていつの間にか雨が降りだしていました。雨音も
ほとんどしない静かな雨です。室内にいて、外が見えない
場合、雨に気づくのは家の前を通る車のタイヤが路面にふれ
てたてる音です。

今日は一日中室内にいて自分のブログをあちこちさわって
遊んでいました。新しいことを書き込んでいくのも楽しい
ですし、デザインを変えたりするのもおもしろく、あっと
いう間に時間がたってしまいます。

□◆□…優嵐歳時記(388)…□◆□

   鉄骨に月柔らかき聖土曜  優嵐

明日は復活祭。その前日にあたる今日は聖土曜日です。
「イースター」は春分の後、最初の満月の後の第一日曜日
と決まっています。ですから、年によって異なり、3月22日
から4月25日までのあいだの日曜日です。「イースター」
ともいいます。キリストが十字架上の死から三日後によみ
がえったとされる日で、キリスト教徒にはクリスマス同様、
大事なお祝いの日です。

ただ、クリスマスもほんとうにイエスその人が生まれた日と
いうよりも、キリスト教以前からあったヨーロッパの冬至の
祭りと結びついたものであり、イースターはやってくる春を
迎える、春の復活を祝うところに始まったものだという雰囲
気があります。

暗く長い冬を耐えて暮らすヨーロッパの人々にはイースター
の明るさがとりわけありがたいものに感じられるのだと思い
ます。クリスマスがあれほど日本人におなじみになっている
のに比べ、イースターはそれほど知られていません。この
あたりは気候風土の違いからくるものでしょうか。

□◆□…優嵐歳時記(387)…□◆□

  春雪が鏡の中を降りしきる  優嵐

思いがけない彼岸すぎ寒波の影響で姫路でも雪が降りました。
ほんの短い時間でしたが、それでもこの時期の雪というのは
珍しいです。

退職する、とはっきり言ってしまうと随分すっきりしました。
人手どうのこうのではなく、今月末で退職することになり
そうです。なんだか罪をおかして追われるという雰囲気に
なりますが、逆に考えれば早めに自由を得られるということ
で、望ましいことかもと思ったりしています。

春の嵐、春の雪、この彼岸寒波、これから何年かたってから
でも、きっと何度も思い出すことでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(386)…□◆□

  退職を決め背後より春嵐  優嵐

発達した低気圧の通過で午後は一時的に激しい雨と風になり
ました。その後は気温が下がり、こういうお天気を播州では
「彼岸の小鳥殺し」といいます。といってももうお年寄りし
かご存知ないでしょうが。

今日、思いがけないことから退職の意思を周囲に伝えること
になりました。私は2月に自分の会社を作りました。まだ
実質的な活動はしていないのですが、会社を作ったというこ
とだけで、公務員である私は法令に触れるのだそうです。

誰かが人事担当課に連絡してくださったようで、今日呼び出
され事情を尋ねられました。あっさり認めて「どちらかを選
べといわれるなら退職します」と伝えてきました。といって
もすぐにやめることは人手の問題で困難です。

これからどのようにこの問題が進んでいくのかはわかりませ
んが、とにかく新しい一歩を踏みだしたのは確かです。

□◆□…優嵐歳時記(385)…□◆□

  菜種梅雨あがるたちまち青い空  優嵐

昨日一日たっぷり雨が降り続きましたが、今日も朝の9時
ごろから雨が降りはじめ、夕方まで降り続いていました。
三月末から四月にかけて菜の花が花盛りのころに降る雨の
ことを「菜種梅雨(なたねづゆ)」といいます。

畑や土手やあちこちに菜の花の明るい黄色が目立ちます。
菜の花のまわりには、雨でも曇りでも不思議なほどの明るさ
が漂っています。なぜか「菜の花梅雨」とはいわず、「菜種
梅雨」というのが不思議ですね。

□◆□…優嵐歳時記(384)…□◆□

  雨終日ガラスの曇る彼岸明け  優嵐

彼岸の最後の日を「彼岸明け」といいます。「終い彼岸」
「彼岸ばらい」とも詠みます。今日は朝から一日中かなり
しっかりとした雨が降り続きました。仕事で訪ねたお家
の庭に淡い、桜色をもっと淡くしたような色の白梅が咲い
ていました。雨に濡れてふわりと柔らかな気品を感じました。

彼岸が明けたということは、これから百花繚乱の季節に
入っていくということです。菜の花はすでにあちこちで盛り
を迎えていますし、梅もまだまだ楽しめます。あと一週間
もすれば南九州や東京ではそろそろ桜が咲き始めますね。

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