優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年03月

□◆□…優嵐歳時記(383)…□◆□

  しばし手を止めて聞き入る初音かな  優嵐

昨日、今年初めてウグイスの鳴き声を聞きました。
「初音(はつね)」とは、その春初めてのウグイスの声
のことです。美しい季語ですね。厳密にいえばウグイス
は冬の間も鳴いており、チャッチャッというそれは「笹鳴
(ささなき)」と呼ばれ、冬の季語になっています。

今日もホーホケキョという声を聞くことができましたので、
おそらく近所に縄張りを持つウグイスがいるのでしょう。
「梅に鶯」というように古くから春を告げる鳥として
日本人に親しまれてきました。生息地はササヤブのある
ところで、地味な羽色をしており、その姿は鳴き声の美し
さとは異なり、あまり目につきません。

□◆□…優嵐歳時記(382)…□◆□

  春分に開店トルコ料理店  優嵐

久しぶりに姫路城の前の大手前広場周辺へ行ってきました。
姫路市民といっても、住まいがあるか、学校や仕事の関係
でもない限り、お城周辺に出かける機会はそれほどない
ものです。しばらく来ないあいだに随分変わっていて驚き
ました。

お城前に雑然とあった建物がきれいに整理されてずいぶん
広々としています。大手前広場から道をはさんだ向かいに
トルコ料理の店がオープンしていました。お花が飾られて
きれいだな、と思っていたら、本日開店でした。カバブを
注文し、ナンに包んで食べました。

店のご主人らしい男性が「ビールによくあうよ」と少し
なまりのある日本語で話しかけてくださいました。そう
だろうな、と思いながらもオートバイでしたので、ここは
ガマンでした。

□◆□…優嵐歳時記(381)…□◆□

  お彼岸の風に向かいしオートバイ  優嵐

三連休の初日はいいお天気でした。オートバイに乗って神戸の
西部までいってきました。オリックスの本拠地だったヤフーBB
スタジアム、いまではスカイマークスタジアムになっています。
以前は神戸グリーンスタジアムといっていたものなのですが。
スポンサーが変わることによって何年かごとに球場の名前が
変わるというのもなんだか不思議な感じです。

今年から来年にかけては各地で平成の大合併と称する市町村
合併が相次ぎます。郵便表記も地図の表記も大幅な変更を
強いられるでしょう。地図販売の会社は大忙しだろうななんて
思います。名前というのは思い入れの大きなものですから、
新市町の名前をめぐっていろいろ議論が戦わされている様子。

さて、春分と秋分を中日として、その前後三日ずつを「彼岸」
といいます。俳句では春はそのまま「彼岸」といい、秋の彼岸
は「秋彼岸」と詠みます。

□◆□…優嵐歳時記(380)…□◆□

  洗われて輝く車春なかば  優嵐

三月を「春なかば」というと、ちょっと早いのでは、と思われる
かもしれません。しかし、暦のうえでは「立春」から春になって
おり、俳句でも立春以後は春の季語を詠みます。ですから三月
中旬は春もなかばなのです。四月ともなればもう晩春です。
桜が散れば、すぐに夏がやってきます。

修理に出していた車が戻ってきました。きれいに洗車までして
いただいて、ありがたいことです。私の車の色はメタリック
シルバーで、汚れが目立たないのを幸いにめったに洗うことが
ありません。冬の汚れをさっぱり落とし、車にもお彼岸がきたな、
という感じでした。

□◆□…優嵐歳時記(379)…□◆□

  料峭に速達二通届きけり  優嵐

「料峭」とは春風が肌にうすら寒く感じるさまをさす季語です。
先週末から今週のはじめにかけてはほんとうに寒かったですね。
しかし今日はお彼岸の入り、さすがに寒さも和らいで、姫路では
朝から雨になりました。

今日はちょっとついていない一日でした。不注意で自家車の底
をぶつけてオートマチックオイルが入っている部分に穴をあけて
しまいました。赤いオイルがどっと流れ出し、濡れた路面がしば
し紅色になりました。車は当然修理工場行き。まあ、気持を入れ
替え、人身事故を起こすよりはマシか、と。

□◆□…優嵐歳時記(378)…□◆□

  足元に光あふれていぬふぐり  優嵐

春先のいいお天気の日、あぜ道を歩いているときれいな青い
小さな花に出会います。一面に花を散りこぼしたように咲いて
います。正確には「オオイヌノフグリ」といいますが、俳句
では「いぬふぐり」と詠まれます。

この花の名前を知らなかった小さな子どものときから、春に
なると最も親しみを感じる花でした。子どもの場合視線が
低いのでよけいにこの花の存在を身近に感じるのかもしれま
せん。明るい春の日ざしがよく似合う花です。

□◆□…優嵐歳時記(377)…□◆□

  芽吹く木に日のやわらかくあたたかく  優嵐

木の芽は春の象徴です。木の種類によって遅速がありますが、
命の目覚めを感じさせてくれます。楓の芽、桑の芽、蔦の芽
など、それぞれの木にそれぞれの浅緑、紅といった芽立ちの
美しさがあり、それが歌や句に詠まれてきました。

木の芽がふくらんでくることを「木の芽張る」といい、古く
は「春」にかけて「帰るかり雲路にまどふ声すなり霞ふき
とけ木の芽春風」(後撰集)などと詠まれることが多かった
ようです。

□◆□…優嵐歳時記(376)…□◆□

  ごくごくと野菜ジュースを春の宵   優嵐

「春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」
という言葉があります。日が長くなり、夕暮れ時から夜に
入っていく頃のなんともいえない明るさの残った感じ、
あの雰囲気を値千金ととらえた感覚が素晴らしいですね。
ほんのわずかのことなのですが、冬の日の短いころと異なり、
気持ゆったりするのがわかります。

夕暮れ時、そそくさと暗くなっていた冬と異なり、夕映えが
雲を長く茜色にしています。ちょっと寄り道をしていくか、
という気分にもなります。人工的な明かりの下で、年中変わり
ない生活を送っているような気がしますが、やはり自然の
サイクルは生き物である私たちの生活に影響を与えているの
です。

□◆□…優嵐歳時記(375)…□◆□

  寒もどり着込んでバイク走らせる   優嵐

昨日、今日と寒い週末でした。今朝はよく晴れて明るい日
ざしが降り注いでいましたが、昼過ぎには風が強く、一時
的に激しく雪が降りました。川の水面も風で波立つほどで
した。暖かくなったとはいえやはり「暑さ寒さも彼岸まで」
とは、よくいったものだと思います。

「寒もどり」は「冴返る」「寒返る」と同じ意味の季語で、
春になっていったんゆるんでいた寒気が寒波の影響で再び
返ってくることを指します。「余寒」「春寒」とも詠みます。
ひとたび春の暖かさを経験した身体には思わぬ寒さがよけい
にこたえるものです。

□◆□…優嵐歳時記(374)…□◆□

  如月やヘルメットにあるうす埃   優嵐

今日は旧暦では如月三日です。「如月」の語源としては、寒さ
のためにさらに衣を重ねる「着更着」という説があるそうです。
今日は冬型の気圧配置で終日寒く、風も強い一日でした。
同窓会があり、バイクで出かけてきました。冬の間、年末から
風邪が治ったような治らないような状態が続いていたため、
オートバイに乗りませんでした。そのため部屋の隅に置いて
いたヘルメットはうっすらと埃をかぶっていました。

これから陽気もよくなり、オートバイの季節です。40分ほど
かけて同窓会の会場まで走りました。風をきる感覚がうれしく、
やっぱりバイクはいいな、と思いました。久しぶりに会う学生
時代の友人たちとの会話も楽しいものでした。それぞれのうえ
に歳月の流れがあり、それでもなお変わらないものも確かに
あり、ひとつの縁で結ばれている人たちなのだ、と感じました。

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