優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年03月

□◆□…優嵐歳時記(373)…□◆□

  麦青むいつしか風も柔らかし   優嵐

ここ数日暖かい天気が続いています。週末は冬型の気圧配置
とのことですが、これが最後の冬型かもしれません。職場の
近くには麦畑が広がっています。麦の若葉がしだいに伸び、
風にそよぐようになってきています。その風ももう寒風では
ありません。

今日も午後から静かな雨が降ってきました。3月もいつのまに
か半ばです。菜の花やれんげが見られるようになるのももう
すぐでしょう。冬枯れの田園に色彩が戻ってこようとしてい
ます。

□◆□…優嵐歳時記(372)…□◆□

  下萌える再び雨となる夕べ   優嵐

朝はいいお天気でしたが、お昼過ぎから急速にお天気が崩れ
雨になりました。といっても路面が濡れるか濡れないかと
いう程度の弱い雨です。ひと雨ごとに春がすすんでいきます。
お天気が周期的に変わるのも春らしいところです。そろそろ
お花見の計画を考えたりしています。

「下萌える」とは草の芽が萌え出すことです。古くはひそか
に思い焦がれるという意味にも使われました。枯れ色だった
冬の地面からそこここに青い草が萌え出ずるさまには春の
エネルギーを感じます。

□◆□…優嵐歳時記(371)…□◆□

  静けさや日もなだらかにしだれ梅   優嵐

今日も暖かでした。住宅地を車で走っていると一軒の庭先で
淡紅のしだれ梅が花をつけ始めているのに会いました。
よそのお家なので、そうしげしげとそば近くによって眺める
わけにもいかず、さっと通り過ぎてしまいましたが、あと
何日かすれば枝全体の花が開いてさぞ見事だろうと思いました。

近くにはレンギョウも咲いていました。これから春の花が
次々と目を楽しませてくれるようになります。いいお天気で
したが、空はなんとなくぼんやり霞がかかったような感じで、
これもまた春らしい風景でした。畑仕事に精を出す人やベビー
カーを押して散歩するお母さんも暖かな日の下で気持がよさ
そうでした。

□◆□…優嵐歳時記(370)…□◆□

  背伸びする浅葱の空のうららかに   優嵐

今日は暖かな姫路でした。うららかとは「麗か」と書き、すべて
のものが明るい春の光を浴びて気持ちよく見えるさまをいいます。
大伴家持に「うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲(こころかな)
しも独りしおもへば」という歌がありますが、これが麗かの本質に
もっとも近い感じです。春の昼の明るさ、そしてそこに寄り添って
いるかなしさ、その微妙な感覚のあわいに「麗か」があります。

今日は戸外に出ても先日までの風の冷たさはなく、ほんとうに
ほのぼのとしたお天気でした。自然と筋肉もゆるみ、身体全体が
リラックスしてのびやかな気持になりました。川の流れもきらきら
とまろやかで、いよいよ春本番だと感じました。

□◆□…優嵐歳時記(369)…□◆□

  献血を終え春の陽の中に出る   優嵐

今日、ほんとうに久しぶりに献血をしました。それも生まれて
初めての400ml献血。最近では副作用を防ぐ狙いから400ml献血
が勧められているようです。以前はよく比重が低くて献血でき
なかったのに、今日は400mlをクリアでしたから、意外でした。
別段ふらふらすることもなく、あっという間に終了しました。

寒い時期はどうしても献血者が減少するようで、今日も、A、
O、Bの血液が不足気味とのことでした。今日は比較的暖かく
献血車を出ると、春の日差しがまぶしく感じられました。
最近の血液は採血されるとすぐに成分ごとに分離されて血液
製剤になるようです。

□◆□…優嵐歳時記(368)…□◆□

  まっすぐに咲く紅梅のいさぎよし    優嵐

梅の枝ぶりを見ると、ほんとうにまっすぐだなあと思います。
白梅には気品を、紅梅には華やぎを感じます。どちらもそれぞれ
のよさがあり、甲乙つけがたいものです。家の近くのお寺に
梅林があり、時々見に出かけます。梅は桜と異なり、かなり
花の時期が長いですから、のんびり楽しめます。

1200年以上の歴史を誇るお寺で、歴代の姫路藩主のお墓もいくつ
かあります。山の中腹にあり、半日気軽なハイキングを兼ねて
出かけるにはもってこいです。梅林の周囲には竹林があり、
風が吹くとさらさらと竹のふれあう音がします。

もう少し大規模に梅を楽しみたい場合は姫路市のすぐ西隣にある
御津町の綾部山の梅林へ出かけます。梅林から瀬戸内海の眺め
も楽しむことができ、こちらなかなかいいものです。

□◆□…優嵐歳時記(367)…□◆□

  三月の夕べ明るき子らの声  優嵐

三月は仲春の頃です。暦の上では仲春ですが、寒さと暖かさ
が交互にやってきて、しだいに春らしい日が増えていきます。
上旬はまだ寒い日が多く、三月なのに、という思いとともに
「いつまでも寒いですね」という言葉が挨拶代わりになったり
します。

あと二週間ほどで春分の日を迎えます。日がすっかり長くなり、
六時前でもまだ明るさが残っているようになりました。木の芽
が膨らみ、草の青みも見え始め、下旬には桜の便りも届き
はじめます。進学や就職、配置転換などにともなう転居が多い
のも三月の特徴でしょう。自然も人も新しい季節に向かって
いきいきと動きはじめる、希望を感じさせる季節です。

□◆□…優嵐歳時記(366)…□◆□

  海山を眼下に見やり鴨帰る  優嵐

秋の終わりに北から渡ってきた冬の渡り鳥の多くがそろそろ
帰り支度を始めるころです。群れがきれいな隊列を組んで
空を渡っていくさまを見ると、なんともいえない感慨が
あります。

あの独特の隊列には飛行力学にかなった理由があり、順次
群れの中で順番を入れ替えることによって体力の消耗を防いで
いるのだそうです。また、お互いが鳴きかわし、励ましあう
ことによって長旅を耐えているのだとか。

姫路の近辺にきていた鴨たちも少しずつ北へ帰り始めています。
ユーラシア大陸の奥地で繁殖し、次の秋には若鳥を連れて再び
やってきます。雁、鴨、白鳥といった冬鳥が北へ去るのと入
れ替わるように、南からは夏の渡り鳥がやってきます。あと
二週間もすれば、ツバメがさっそうと空を舞う姿が見られる
はずです。

□◆□…優嵐歳時記(365)…□◆□

  コーヒーを白きカップに春の朝  優嵐

平日の朝はばたばたと忙しいのでゆっくりコーヒーを飲んで
いる時間もありませんが、特に出かける予定もない休日の
朝はコーヒーを入れてのんびりした気分に浸ります。

何も予定がない、というのはなかなかぜいたくなことです。
ほとんど何かしなければならないことがつまっている日々の
中にぽかんとあいた陽だまりのような時間です。この一日
をどう使ってもいいのだ、という思いだけで満足感があり
ます。いまや小学生の子どもでも予定びっしりというのは
珍しくありませんから。

□◆□…優嵐歳時記(364)…□◆□

  春の雪降りくる中を峠越ゆ   優嵐

名古屋から奥飛騨の平湯温泉へ向かう途中の情景を詠んだ
ものです。わずかな移動距離ですっぽりと雪国に入って
しまうおもしろさ、これが日本の風景の魅力ですね。

ここから先はどんどん雪深くなり、確かに雪国の風情です。
泊まった温泉旅館からは目の前に安房峠が見えました。
ここから北には、焼岳、西穂高岳、奥穂高岳といった北
アルプスの山々が連なっています。

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