優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年05月

□◆□…優嵐歳時記(433)…□◆□

  豊かなる朝の街角薔薇香る  優嵐

バラは姿とともにその香りも愛でられる花です。バラは
千年以上の歳月をかけ、世界各地の原種をかけあわせて
人間が作り出した花の芸術品です。現在も毎年新しい
品種がつくり続けられています。

バラという名前は刺を持つイバラにちなみ、二万種を
越える園芸品種がありますが、いまだに刺のないバラは
できていないそうです。原種は一重の五弁花ですが、
園芸品種のほとんどは八重咲きです。

□◆□…優嵐歳時記(432)…□◆□

  書物より顔上ぐ窓の夏始  優嵐

「初夏」のことを「夏始(なつはじめ)」ともいいます。
「しょか」と詠まずに「はつなつ」と詠む場合もあります。
他には「孟夏(もうか)」「首夏(しゅか)」などという
季語も歳時記には載っていますが、あまり実感がありません。

読書の秋といいますが、今頃も気候は爽やかで、読書に
はぴったりです。私は何冊かの本を並行して読むのが好き
です。今は「ローマ帝国衰亡史」と「不動産投資の教科書」
と「人口減少社会のマーケティング」を同時進行で読んで
います。気分が変わっていいものです。

□◆□…優嵐歳時記(431)…□◆□

  筍のちょろりと顔を出しており  優嵐

筍(たけのこ)は竹の地下茎から新芽が出たものです。
掘りたてのものを手早く茹でて食べるのが大事です。
土の中にまだいる状態のものを「白子」といい、これ
であれば、下茹でをしなくてもおいしくいただけます。

子どものころは筍をはじめ山菜類はすべて苦手でした。
しかし、今はわざわざ筍づくしなどというメニューを
頼んでみたりもします。筍はたくましいですからどんな
藪にも生えますが、京都など有名産地の竹やぶは手入れ
が行き届き、見事なものです。

□◆□…優嵐歳時記(430)…□◆□

  青空をつばめ飛び交う五月かな  優嵐

今日の早朝まで残っていた雨があがり、爽やかな空気
の一日でした。暑くもなく寒くもなく、湿気もなく、
一年中で最も快適なころです。近所を少し散歩する
だけで、多くの花や鳥に会うことができます。

「つばめ」は春の季語ですので、今日の句の中では
「五月」が季語になります。立夏が月の初めにあり
ますので、五月は夏の季語です。つばめ関連では
「燕の子」が夏の季語になります。そろそろ最初の
雛がかえるころでしょうか。

□◆□…優嵐歳時記(429)…□◆□

  若葉雨傘差しかけて語りけり  優嵐

一日雨の姫路でした。運動不足解消もかねて冊子小包
を出しに近所の郵便局まで歩いて行きました。そこで
公務員時代にお世話になった方にばったり会いました。
「どうしてるの?」としばらく郵便局の前で立ち話。

思えばいろいろな場所でいろいろなご縁でそまざまの
人と出会っているんだなぁと思います。夜には学生時代
の友人から電話がかかってきました。何年も会っていな
くても、話し始めれば即座に学生時代に戻ってしまえる
というのがこういう友人のうれしい点です。

□◆□…優嵐歳時記(428)…□◆□

  野も山も緑なすなり夏来る  優嵐

今朝もよく晴れていました。目が覚めて青空を見て
ああ、今日から夏なんだと思いました。こういう暦
の区切りを知ることによって生活に句読点ができます。
暦というのは、人間の気持ちを刷新する効果ももって
いますね。

ただ、夏といってもこの感覚がぴったりくるのは
やはり関東より西だと思います。以前、ゴールデン
ウイークに東北へ行き、大変寒かったのを覚えて
います。

□◆□…優嵐歳時記(427)…□◆□

  夕暮れて春惜しみつつ散歩する  優嵐

明日が立夏ですから、暦の上では今日が春の最終日です。
今日もいいお天気でした。ちょうど今頃の気候は
ヨーロッパの夏を思わせます。日差しは強いですがまだ
湿気が少なく、日陰に入ると心地よくて爽やかです。

「惜しむ」という言葉にはいやおうなく流れ去っていく
歳月に思いをはせる感覚が強く働きます。その背後にある
無常観とでもいえばいいでしょうか。この春を来年また
同じように迎えられるとは保障の限りではありません。
また迎えられたとして、それは「この春」とはまた必ず
どこか異なっているものです。

□◆□…優嵐歳時記(426)…□◆□

  チューリップ庭のいずこも明るくて  優嵐

今日は憲法記念日、いいお天気です。ブログの『優嵐
歳時記』のページには写真を添えていますが、冬から
春の初めにかけては被写体があまりありませんでした。
しかし、4月に入るとさすがに春もたけなわで、ぐっと
花が増えました。

チューリップは中近東から中央アジアにかけての乾燥
地帯が原産で、16世紀にトルコ経由でオランダに入り、
またたくまに人気が出ました。誰でも知っているあの
花の親しみやすい形、これもまた春を代表する花の
ひとつといえます。

□◆□…優嵐歳時記(425)…□◆□

   緑へと吹く風八十八夜かな  優嵐

今日は八十八夜です。立春から数えて八十八日目、
「茶摘み」に歌われるように茶所では新茶の摘み取り
に忙しいころです。「野にも山にも若葉が茂る」
まさにそのとおりです。山の若葉が輝くようでした。

昼間は風がありました。それもまた心地よく、
これからの季節は少し風があるほうがいいものです。
ヤエザクラはほぼ終わり、歩道の上に花びらが散って
います。ソメイヨシノのように風にはらはらと散る
というよりは、もっと重々しくぼてっと散っている
感じですね。

□◆□…優嵐歳時記(424)…□◆□

   春深しケータイ鞄の底で鳴る  優嵐

一日雨の姫路でした。緑が雨に洗われていっそう
生き生きとしています。アパートの前のツツジも
見るたびに開いている花が増えています。今日から
5月、風薫るといわれるように爽やかな季節です。

この三連休は本を読んですごしました。勤務に出て
いたなら、今年の連休の並びであれば間違いなく
2日と6日に有給休暇をとってどこか遠くへ出かけた
ところです。去年のゴールデンウイークはオートバイ
で九州へ出かけました。

でも不思議に時間が全部自分のものになってしまう
と、どこかへ出かけたい、という欲求は少なく
なってしまいました。不思議なものです。

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