優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年06月

□◆□…優嵐歳時記(469)…□◆□

  膝に陽を受けて走りし半ズボン  優嵐

暑くなってきましたので、最近は昼間にマウンテンバイク
で走るときもサイクリング用のショートパンツをはいて
います。サドルがあたる部分にパッドがついていて、長時間
自転車に乗っても快適です。

今日も1時間ほど走ってきました。つい先日田植えが済んだ
とばかり思っていた田んぼでも、はや稲がかなり大きく
なっています。残っていた麦畑もすっかり刈りつくされて
いました。ここはこれから晩稲が植えられるのかと思います。
アジサイ、タチアオイ、カンナなども道の傍らに見える
ようになりました。

□◆□…優嵐歳時記(468)…□◆□

  朝の雨すぐにあがりて夏の風  優嵐

雨の朝でした。しかし、午前中に雨はあがり、昼ごろ
には陽がさしてきました。いいお天気だと今の季節では
南の窓をあけて風を入れます。窓からは市川とそこに
緑の影をおとす前の山が見えます。

私は子どものときからずっと川が見えるところで育った
せいか、山と川が見えるこの景色が好きです。同じように
見えてもその日の天候、風の向きなどによって微妙に川の
色が異なります。コサギやアオサギが川べりに来ている
こともあります。

□◆□…優嵐歳時記(467)…□◆□

  風そよぐ皐月の土手の茅花かな  優嵐

「皐月」は陰暦の五月をさし、陽暦の六月ごろに
あたります。今日は陰暦では皐月九日です。「茅花
(つばな)」はチガヤの花穂のことです。白い毛が
密生し、川原や畑のまわりや土手などに群生して
います。

日の光を受け、白い茅花が風にゆれているさまは
なかなかに美しいものです。「茅花」は季語のような
気がしますが、手元の歳時記にはいずれも載って
いませんでした。茅花が咲くころの湿気を含んだ南風
を「茅花流し」といい、これは夏の季語になります。

□◆□…優嵐歳時記(466)…□◆□

  土つけしままのたまねぎ軒下に  優嵐

タマネギの収穫の時期です。貯蔵がきく野菜ですので、
風通しのよい涼しい日陰につるして保存します。
日本には明治初年に渡来し、肉食が一般にも広がる
に連れて、普及していきました。一年中利用でき、
食卓に欠かせない野菜となっているだけに、江戸時代
以前の日本人はタマネギを食べていなかったのかと
思うとちょっと意外でした。

こうして考えると、いまの日本人が食べている食材
は昔の日本人が食べていたものとは比べ物にならない
ほど種類が豊富になっているのだろうと思います。
まだまだ毎年のように珍しい食材が紹介されています
から、実に人間はいろいろなものを食べているものだ
と驚きます。

□◆□…優嵐歳時記(465)…□◆□

  六月の熱きシャワーを背に浴びる  優嵐

今の私の仕事のお昼休みは午前11時から午後0時30分
までです。パソコンの前に座っての仕事ですので、
お昼休みの間に近所をマウンテンバイクで走り、
運動不足の解消をしています。今日も図書館まで
走ってきました。

走っている間は風を受けますから、それほど暑さは
感じませんが、バイクをおりて部屋に戻るとかなり
汗をかいています。シャワーを浴びてさっぱりし、
それから昼食を食べます。この時間が気分転換にも
なり、私には貴重なひとときです。

□◆□…優嵐歳時記(464)…□◆□

  三日月の夜も匂いし栗の花  優嵐

栗の花の匂いは独特です。夜になればほとんどの花は
見えなくなってしまいますが、栗の花ばかりは花よりも
主張の強いその香りで、それほど近くへ行かなくても
「あ、栗の花」と気がつきます。

花そのものも白い細長いブラシがたくさん下がっている
ような格好で、花としてその美しさを楽しむといった
ものではありません。ただ、梅雨に入ると毎年嗅ぐこの
青臭い匂いに、間違いなくその季節なのだという感慨を
呼び覚まされます。

□◆□…優嵐歳時記(463)…□◆□

  入梅の目覚めの朝の雨の音  優嵐

今日は雑節の「入梅」です。立春から百二十七日目に
あたります。偶然、近畿地方は今日梅雨入りしました。
姫路も雨の朝でした。雨は午前中にはあがりましたが、
一日中どんよりと低い雲が垂れ込めた梅雨らしい
お天気でした。

ずっと晴天が続いていましたので、久しぶりの雨はそれ
なりにいいものでした。気持ちが少しゆったりして落ち
着きます。お天気が人間の気分に与える影響というのは
大きいものだな、と思います。

午後から近くの書店へいって雑誌を5冊まとめて買い
ました。どれも旅心を刺激するようなアウトドア系、
遊び系の雑誌です。写真を見ているだけで楽しいですし、
新しい遊び道具を見ては「あ、これいいなー、乗って
みたい、やってみたい、使ってみたい」などとあれこれ
考えるのもまた楽しいのです。

□◆□…優嵐歳時記(462)…□◆□

  中天に陽あり笹五位立ち尽くす  優嵐

ササゴイは全長50cmくらいのサギ科の鳥です。ゴイサギと
よく似ていますが、やや小ぶりです。またゴイサギが夜行性
なのに対し、こちらは昼間でも川の中の石の上などにじっと
たたずんで魚を待ち伏せていますので、目にする機会は多い
と思います。

世界中の温帯から熱帯にかけて広く繁殖し、日本には夏鳥
として飛来し、本州から九州まで平地で普通に見られます。
家の近所の神谷(こだに)川でササゴイを見ました。よく
アオサギも見かけます。30分以上同じ場所にたたずんで
魚を待っていました。

□◆□…優嵐歳時記(461)…□◆□

  ハイヌーンの街は静かにアマリリス  優嵐

『ハイヌーン』という映画がありました。グレース・ケリー
がゲーリー・クーパーと共演した西部劇の名作。保安官が
結婚して街を去ろうとする日、かつて監獄に送った無法者が
復讐のために街に戻ってきます。臆病な街の住民は誰一人
保安官を助けようとはしません。新妻を先に行かせ、ただ
ひとりで無法者を待つ保安官…。劇中時間と現実の時間を
一致させるという試みがリアリティを増していました。

住宅街の真昼間には不思議な静けさがあります。どの家も
外出していて無人のためでしょうか。軒先の花をながめ
ながら自転車を走らせていてもほとんど人影を見ることが
ありません。おかげでゆっくり写真を撮ったりすることも
できるのですが。

アマリリスは南アメリカ原産のヒガンバナ科の多年生球根
植物です。ユリに似た大型の六弁の花を咲かせます。かつて
は花壇に植えられることが多かったようですが、最近は
鉢植えでも栽培されているようです。

□◆□…優嵐歳時記(460)…□◆□

  暮れかぬる夕空映す植田かな  優嵐

田植えが終わったばかりの田のことを「植田」といいます。
田水がいっぱいに張られ、そこから水面すれすれにか細い
苗が頭をだしています。水面にはあたりの家並み、木立
山、空、雲などが映っています。

一年中で最も日の長い今頃、6時半を過ぎてもまだ明るく、
気分がゆったりします。6月5日は二十四節気の「芒種」
でした。そろそろ走り梅雨があり、梅雨めいて来るころ
ですが、そういう気配はまだ感じられず、今年は5月から
ずっと雨が少ないように思います。

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