優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2005年07月

□◆□…優嵐歳時記(488)…□◆□

   ながながと梅雨前線ながながと   優嵐

6月中はさっぱり雨が降らなかったのに、7月に入ってから
待ちかねたように連日雨です。すでに10日ですが、雨が全く
降らなかったのは一日か二日くらいです。今日も午前中は
曇り空でしたが、雨は落ちず、夕方になって強い雨が短時間
に降りました。

天気図を見ますと、大陸から朝鮮半島の南端をかすめて梅雨
前線が日本へ伸びています。西日本から東北まで日本列島の
形に添うようにかかっています。九州北部では大雨との予報
も出ています。お気をつけください。

□◆□…優嵐歳時記(487)…□◆□

   籐寝椅子手足余れる幼き日   優嵐

子どものころ、家に籐寝椅子がありました。籐で編んだ椅子
を籐椅子といいますが、そのもっと大きなもので寝そべることが
できます。祖母が健在のころ、家では夏と冬で調度品を入れ替え
ていました。暖簾も襖も衝立もすべて冬のものから夏のものに
なります。

そのとき、籐寝椅子も出されるのでした。子どものころはこう
した季節のけじめの行事がいろいろあったなと思い出します。
エアコンなどまだなく、日常生活の工夫で涼しさを作り出して
いたのです。打ち水や風鈴も身近でした。

つい最近、ラフマのRSX WOODというリクライニングチェアを買い
ました。ラフマはもともとアウトドア用品を作るメーカーなの
ですが、ファニチャー分野でも優れた製品を多数作っています。
このリクライニングチェアもレッグレストのリフトアップとともに
背もたれが無段階でリクライニングし、素晴らしい寝心地なのです。
それでいて折りたためて重さはわずか7kgほど。

ここに寝転んで窓から入る風を受けつつ、読書を楽しむひととき
がこのところの楽しみです。子どものころの籐寝椅子の感覚を
ふと思い出しました。

□◆□…優嵐歳時記(486)…□◆□

   開け放つ窓より一声夏鶯    優嵐

鶯は春の季語ですので、夏は「夏鶯(なつうぐいす)」または
「老鶯(ろうおう・おいうぐいす)」と詠みます。ウグイスの
鳴き声、冬の間はチャッチャッという笹鳴きですが、春先に
なるとケキョケキョとたどたどしく囀りはじめます。そして、
繁殖期に入ると、「ホーホケキョ」というあの美しい声が聞こ
えるようになります。

「ケキョ、ケキョ、ケキョ」という長く続く囀りは「谷渡り」
を呼ばれ、警戒の意味があるようです。産卵期は5月〜6月
で、抱卵日数、巣立ちまでの日数もともに二週間ほどです。
しばしばホトトギスに托卵されます。晩夏になり、繁殖期が
過ぎると、再び笹鳴きに戻ります。

□◆□…優嵐歳時記(485)…□◆□

   ラケットを置いて冷たき麦茶飲む   優嵐

昨日は久しぶりに一日雨がおちませんでした。ナイターで
テニスをしてきました。夕方まだ明かるさの残っている
コートの上をたくさんツバメが飛び交っていました。
昼間のコートに比べれば、日差しがない分暑さは和らいで
いますが、それでも走り回るとすぐに汗びっしょりになります。
プレーの合間に汗をふいて、冷たい麦茶を飲みます。

麦茶は大麦を殻つきのまま炒って煎じた飲み物です。麦湯
ともいいますが、麦茶の方が一般的です。子どものころは
大きな茶びんで沸かし、そのあと桶で荒熱をとってから
冷蔵庫で冷して飲んでいましたが、今ではパック入りや
ボトル入りのものがすっかりおなじみになっています。

□◆□…優嵐歳時記(484)…□◆□

   風も陽もぞんぶんに浴び梅雨晴間   優嵐

夕方からまた雨になっている姫路です。しかし、今日の
お昼過ぎまでは久しぶりに雨がやんで晴れ間がのぞきました。
オートバイに乗って城郭研究センター内にある図書館まで
行って来ました。

私は本を読むのが大好きですが、読む本の半分以上を図書館
で借りています。図鑑や辞典の類以外は一度読むとそう何度も
読むものではありません。アパートの部屋は狭いですから、
読んだ本を全部蔵書としておいておくわけにもいきません。

また、書評欄などを読んで興味を抱いて手にとってみても
実際にはそれほどでもないという本もあります。こういう
とき、図書館で借りられるというのはありがたいことです。

□◆□…優嵐歳時記(483)…□◆□

   満々と水をたたえて梅雨の川   優嵐

四日連続雨が降り続いている姫路です。目の前の市川は
かなり水量が増し、濁った水が勢いよく流れています。
市川は比較的おとなしい川のようで、去年の水害のとき
もなんとか堤防内におさまっていてくれました。地形的
に堤防に無理がかかるところが少ないのかもしれません。

これだけ降れば、これまでの雨量の少なさはかなり補える
のではないかと思います。部屋の中もさすがに四日間降り
続くと畳や襖が湿気を帯びてきているのがわかります。
明日あたりには少し青空も欲しいところです。

□◆□…優嵐歳時記(482)…□◆□

   五月闇目覚めて夜半の地震かな   優嵐

午前三時前に地震がありました。なぜかその直前に
目が覚めて、何だろうと思っているとぐらっときました。
地震で目が覚めたわけではありません。目を覚まして
闇の中で奇妙な感覚を味わっているうちに揺れがきた
からです。

空梅雨だといっていたら、七月に入ってこれで三日連続
の雨です。西日本では梅雨前線の活動が活発で、大雨の
ために亡くなった方もいらっしゃいます。こう極端でなく
てもいいのに、と思うのは人間だけなのでしょうけれど。

五月闇(さつきやみ)は五月雨(さみだれ)が降るころの
夜の闇の濃さを表す季語です。ここで「五月」は陰暦の
五月をさしており、陽暦の六月ごろにあたります。梅雨と
解釈していいでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(481)…□◆□

   いきいきと雨受けている七変化   優嵐

「七変化」とはアジサイのことです。花が開いてから
順に色が変化することからこう呼ばれます。季語では
他にアジサイをさして「八仙花」「手毬花」「四葩
(よひら)の花」「刺繍花」「かたしろぐさ」などと
いうものもあります。

ほとんど雨の降らなかった六月から一転して、七月
に入ったとたん、二日続きの雨天です。これが梅雨
本来の姿ですから、いくぶんほっとしています。
からから状態で元気のなかったアジサイも、みずみず
しさを取り戻しているようです。

□◆□…優嵐歳時記(480)…□◆□

   荒梅雨の音に聞き入る昼下がり   優嵐

朝から雨でした。しとしとと降りつのる雨、というのでは
なく、ざーっと降ってはあがり、またどっと降るという
スコールのような雨が続きました。日本列島は亜熱帯化
しているのでは、という話を聞いたことがありますが、
今日の雨の降り方などはまさにそういう感じでした。

じめじめと降る長雨というのは気分が滅入って嫌なもの
ですから、個人的にはこういう雨が好きですが、さて
風土・気候的にはこういう雨でいいものかどうか
わかりません。

梅雨は初夏と盛夏の間にあるもうひとつの季節といって
いいほどです。日本の気候を特徴づける梅雨だけに季語
もたくさんあります。

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