優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2006年01月

□◆□…優嵐歳時記(677)…□◆□

   壁打ちのボールの弾む春隣  優嵐

ひとりででもできるテニスのショットの練習が壁打ちです。
緩やかなボールには緩やかな返球が、速いボールには速い
返球が戻ってきます。正確なショットを打たないと、
ボールがあさっての方角へ飛んでいきますので、壁を相手
にラリーを続けることができません。

今日で一月は終わりです。最初の一週間くらいは新春の
ハレの気分で過ぎていき、あっという間の一ヶ月です。
「春隣」は「春近し」などと同じ意味をもつ季語です。
語感によって使い分けます。昨日あたりから少し気温が
あがり、寒明けが近いことを実感しています。


□◆□…優嵐歳時記(676)…□◆□

   湯豆腐を食べに入りけり竹の奥  優嵐

湯豆腐を中心とした豆腐づくしの料理を食べてきました。
冬は鍋物のおいしい季節ですが、湯豆腐はそのあっさりと
した味わいがうれしいものです。豆腐そのもののおいしさ
が問われる料理ともいえます。

豆腐づくしですから、他に薄あげ、厚揚げ、湯葉、がんもどき、
豆腐のコロッケ、シュウマイなどの料理も出て、大変おいしく
いただきました。


□◆□…優嵐歳時記(675)…□◆□

   裸木の間の空も春近し  優嵐

今日は旧暦の元日です。日が長くなり、夕陽が沈んでいく
のも幾分ゆったりとした雰囲気です。昔の人の「初春」は
こういう感じだったのだろうと散歩しながら旧暦の新年を
味わいました。寒中ですから確かに寒いのですが、確実に
春がすぐそこまで来ていることがわかります。

木々の枝も冬芽をたくわえて、すでに春への準備は万端
です。「春近し」は冬の終わり、春の訪れを待つ心を
表します。「春遠し」という季語もありますが、どちらも
春を待ち望む心を示したもので、「遠し」は待ち遠しい
という気持ちがこもっています。雪国の方であれば
いっそうその気持ちは強いでしょう。


□◆□…優嵐歳時記(674)…□◆□

   湯に身体伸ばしてあずけ寒の夜  優嵐

お風呂は一年中好きです。この時期は寒い戸外から帰って
暖かいお湯につかると、ほっと生き返る心地がします。しばし
湯船でぼんやりと湯気を眺めたり、あるいは目を閉じて
リラックスしたり、というのがいいですね。

お風呂で身体の一日の汚れを流すとともに、心の汚れも
流しているようです。日本人は昔からお風呂の時間を心身の
リフレッシュに使ってきたのでしょう。

□◆□…優嵐歳時記(673)…□◆□

   ゆるやかに凍雲映す流れかな  優嵐

「凍雲」とは、寒さが厳しい中、空にじっと凍えたように
浮かんでいる雲のことです。いかにも語感が寒々とした
印象です。夕方、散歩にでると、夕陽を受けてほんのりと
茜色に染まった雲が浮かんでいました。

日が長くなり、夕陽が沈む位置も少しずつ移動している
のがわかります。こうしてみると、自然は少しずつ
ですが、前日とは変わっており、完全に同じ日というのは
ありません。昔の人は日脚の伸び方を「米粒ほど」と
形容しましたが、まさにそのとおりだと思います。

□◆□…優嵐歳時記(672)…□◆□

   午後の雲低く山茶花咲き続く 優嵐

サザンカは初冬から咲き始め、次々と散っては長く咲いて
います。ツバキ科の常緑樹で、ツバキとよく似ていますが
ツバキよりは小ぶりで一片ずつ散る傾向があります。
日本原産で、野生のものは、白色の五弁花です。

ツバキ同様園芸種として改良され、多くの品種があります。
色は白、桃、紅、縁紅ぼかしなどがあり、一重も八重も
あります。花の少ない季節ですので、冬の寒さの中で
けなげに咲く花として俳諧の時代からよく詠まれています。

060126

□◆□…優嵐歳時記(671)…□◆□

   鉄塔に椋鳥群れし寒茜  優嵐

寒い日が続きます。夕方、散歩をしていると、送電線の鉄塔に
ムクドリの群れが止まっているのを見ました。ねぐらに戻る前
のひとときをこうして過ごしているのでしょう。「椋鳥」その
ものは秋の季語です。漂鳥で、一年中見られますが、積雪の
多いところでは、冬は暖かいところに移ります。

秋冬は群れで生活し、今日みかけた群れも200羽はいたと
思われます。群れ全体がひとつの意志を持ってでもいるかの
ように一斉に向きを変えるさまは見事です。黒っぽい身体に
オレンジ色の嘴と白っぽい顔が目立ちます。

「寒茜」は寒中の夕焼けをさします。最も寒いときですが、
しだいに夕暮れの時間が遅くなり、その赤さに近づく春を
思う、そんな夕焼けです。これで野鳥は26種になりました。

□◆□…優嵐歳時記(670)…□◆□

   サーブ待つコートの上の白き息  優嵐

今夜もナイターでテニスをしてきました。コート上の気温は
氷点近く、白い息を吐きながらのプレーになりました。夕方は
少し風がありましたが、夜になるにしたがって風がやみ、体感
温度はむしろ少し暖かくなりました。

暖房が効いた屋内では、息が白くなるということはありません
から、これは真冬でも屋外で活動する人たちの生き生きとした
様子を伝える季語です。働く人、スポーツをする人、通勤通学
の人など、人の営みを感じさせる季語ですね。

□◆□…優嵐歳時記(669)…□◆□

   遠山に明るき影や日脚伸ぶ  優嵐

夕方散歩に出て、日差しの明るさに驚きました。あと二週間
ほどで立春ですから、気温は低くとも間もなく冬は終わりです。
それをはっきりと感じたひとときでした。裸木の向こうに
見える青空も確かに春の兆しを感じさせます。

冬至から少しずつ日が長くなります。実際には、夕暮れの時間
は、冬至以前から少し遅くなっていますが、夜明けの時間が
遅くなりますので、日中の時間は冬至が一番短くなります。
「日脚伸ぶ」には、確かに日が長くなったという感じ、そして
春はもうすぐだという日常の喜びがあります。

□◆□…優嵐歳時記(668)…□◆□

   トンネルを抜ける一面雪野原  優嵐

昨日、新幹線が関ヶ原付近にさしかかるとトンネルを抜けた
とたん急に雪野原が広がりました。このあたりは脊梁山脈の
切れ目になっているためか、寒気が内陸部まで吹き込み
やすく、雪の季節には新幹線の泣き所になっています。

今日の東京は昨日の雪があちこちで溶けて凍りつき、歩道が
滑りやすくなっていました。昼過ぎには東京を発って姫路に
向かいました。富士山をすぎるあたりまでは冬の雲が空を
おおっていましたが、その後は真っ青な空が広がりました。
しかし、風が強いのか、浜名湖は白い波頭がたっていました。

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